バリ州の受刑者バンド 2枚目のアルバム発表 麻薬使用の罪で収監 記者会見では尿検査も

 バリ州最大の刑務所、バドゥン県クロボカンにあるクロボカン刑務所で収監中の若者らが結成したバンド「アントラベス(鉄格子の子ども)」がこのほど、2枚目のアルバムを発表した。タイトルは「ノーリミット」。全10曲入りで「たとえ自由の身でなくても創造力に限界なし」という思いを込めた。

 メンバーはオクタフさん(ギター)、リーファさん(ギター)、フェブリさん(ボーカル)、ロナルドさん(キーボード)、ダウスさん(ドラム)の20〜40代の5人。いずれも麻薬使用で禁錮2〜5年の刑を受け、うち2人は既に刑期を終え釈放されている。
 クロボカン刑務所で22日に行われた記者会見では、トニー・ナインゴラン刑務所長の指示で、まず最初に5人の尿検査が行われた。記者や職員の目の前で採取したばかりの尿を各自がテストキットに入れ、結果は全員陰性。彼らがもはや薬物を使用していないことを証明するためだが、仮に陽性反応が出ればアルバム発表は取りやめになるところだった。
 曲は親しみやすいメロディのロックバラードで歌詞はインドネシア語の2曲を除いて英語。全10曲のうち9曲を書いた最年長のオクタフさんは「英語で書いたのはより多くの人に理解してもらうため。インドネシア語の『インドネシア』は祖国の多様性や豊かさをテーマにした。こんな素晴らしい国に生まれたのだから、ルールを守って暮らしていこうという気持ちを伝えたかった」と話した。
 アントラベスが最初のアルバム「変革の時」を出したのは2016年10月。刑務所内で演奏していた彼らを支援するために刑務所が音楽プロダクション会社のアンティダ・ミュージック・プロダクションにアルバム制作を依頼した。
 デビュー作は、インドネシア唯一の受刑者バンドという物珍しさだけでなく、音楽的にも高い評価を得た。「彼らのほとんどはそれまでカフェなどで流行歌を演奏していただけだったが、音楽を聴いて心に響くものを感じた。これなら世間に受け入れられると確信した」とアンティダのアノム・ダルサナさんは当時を振り返る。
 彼らの音楽活動は他の受刑者の励みや手本になるとして、刑務所の全面的な支援を得ており、公演依頼や練習などで必要があれば、外出も許可されるという。
 アルバムの価格は10万ルピア。以下の音楽配信サービスのリンクから購入できる。
 スポティファイ http://bit.ly/NoLimit-Antrabez-Spotify▽アイチューンズ http://bit.ly/NoLimit-Antrabez-iTunes▽ディーザー http://bit.ly/NoLimit-Antrabez-Deezer

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