サウジ斬首刑に抗議 イ外務省 イ人労働者冤罪主張

 サウジアラビア当局は18日、サウジアラビア人の雇用者を殺害したとして殺人罪に問われ、斬首刑の判決が言い渡されていたインドネシア人労働者の男性(53)を処刑した。これに対し、インドネシア外務省は、再審請求中に刑を執行したとして同国政府に抗議。世界で唯一、同国で採用されている斬首刑の執行で波紋が広がっている。

 処刑されたのは、東ジャワ州マドゥラ島出身のムハンマド・ザイニ・ミスリン・アルシャッド氏。雇用主を殺害したとして2004年に逮捕され、08年に第一審で死刑判決が言い渡された。ザイニ氏は同国警察に自白を強要されたとして冤罪を主張。しかし控訴も棄却されたため、インドネシア政府は17年と18年に2度、弁護士を派遣して再審を請求していた。
 ザイニ氏の長男サイフル・トフィックさんは地元メディアに対し、ザイニ氏は処刑前日の17日に家族に電話した際、「警察官にムチで打たれ、自白を強いられた」と話していたという。
 インドネシア外務省によると、海外で就労するインドネシア人労働者で、死刑判決が言い渡されているのは142人で、うち23人がサウジアラビアに滞在している。
 国際人権団体リプリーブは、17年7月以降、サウジアラビアで133人が斬首刑を受けたと指摘。16〜17年の67件と比べ倍増しており、刑執行数の増加は同国王室の内紛の激化と関係があると分析している。
 サウジアラビアは過去10年ほどで数人のインドネシア人を処刑している。11年6月には、雇用者殺害で殺人罪に問われた西ジャワ州ブカシ出身の女性労働者ルヤティ氏に斬首刑を執行した。当時、在ジッダ総領事館職員が同伴しただけで、弁護士もいない状態で裁判を受けたとして、人権団体が独自調査を実施したが、同国内での活動は制限され、真相は究明されなかった。(坂田優菜)

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