海へと清めの儀式 アグン山の雄姿背に ニュピ

 バリ・ヒンドゥーの元日にあたる17日の「ニュピ」の約1週間前からバリ島では清めの儀式「ムラスティ」が行われ、島東部ギャニャール県のルンベン海岸では16日、複数の集落が祈りと供物を海へ捧げ、平穏なニュピを祈願した。
 普段は雲に隠れていることが多いアグン山が全貌を現し、煙を上げた雄姿が海の儀式と一望できるニュピの大みそかとなった。
 ムラスティは、寺院のご神体を海や川、湖へ運び、信者らが輿(こし)を水際まで担ぐことで清める儀式。バリのヒンドゥー教徒は海などの水を「命の源泉」と信じている。
 一方、アグン山をはじめとする島内の山々は、民が開墾に苦闘した歴史から病魔が宿るところと信じられている。
 バリ・ヒンドゥーには、山の邪気を海へ流し清める世界観があるといわれる。(前山つよし=バリ州ギャニャール県在住)

■オゴオゴが練り歩く
 ニュピ前夜、バリ島カランアセム県のチャンディダサでは15体の張りぼて人形「オゴオゴ」が若者に担がれ、村の広場から大通りに繰り出した。前を歩く女性集団が手にしたたいまつから煙が立ち上り、リズミカルなガムランの音が途切れることなく響き渡った。普段は落ち着いた雰囲気の通りが年に1度、地元の人々や周辺のホテルに泊まっている観光客らで埋め尽くされる夜だ。
 「大勢の見物人を前に若者らは誇りを感じている。全部自分たちで作ったのだから」と道路沿いで人々を誘導していた正装姿の男性が話した。(北井香織)

■ジャカルタでも祈り
 北ジャカルタ区チリンチンのバリ・ヒンドゥー寺院「ダルム・プルナジャティ」では、16日夕方から正装に身を包んだ家族連れなどが参集した。その後僧侶らが神殿や境内に聖水をかけて清める儀式が始まり、境内にはお香だけでなく火もたかれた。
 近くに住むイ・クトゥ・ライ・スディリアさん(50)は「悪霊を呼び込むために花や食べ物を供えたり境内で火をたいている」と話す。悪霊を追い払う「ムチャル」と呼ばれる儀式が始まり、男女数人が棒を手に供物を倒した。線香が配られ、僧侶のお経と合図で、参拝者約200人は約20分間の礼拝を行った。(坂田優菜)

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