【トップに聞く 自動車販売】愛されるための正念場 MMKSI 近藤恭哉社長

 昨年の国内自動車販売は107万台で前年のほぼ横ばい。商用車が回復傾向に転じる中、ことしの国内市場は昨年並みといわれている。自動車メーカーのトップに、見通しや話題の電気自動車(EV)の展開を聞く。トップバッターは昨年、エクスパンダーが話題となり、ことしも順調に販売を伸ばすミツビシ・モーターズ・クラマ・ユダ・セールス・インドネシア(MMKSI)の近藤恭哉社長(51)。

 ——昨年を振り返って。
 近藤社長 昨年はインドネシアにおける三菱自動車の歴史において大きな転換の年となった。今までは、乗用車と商用車、生産と販売を、一つの会社で行ってきた。三菱自動車(MMC)ブランドとふそうブランドを分け、それぞれが最適を追求する新しい体制をスタートさせた。また、8月にはエクスパンダーを発売するなど、意義深い年だった。
 ——ことしのマーケット状況、見通しは。
 昨年のマーケットは卸・小売ともほぼ横ばい。トラックは3割増、乗用車・軽商用車は3%弱のマイナス成長だった。マクロ経済指標が好調な中、石炭、パームなどの価格は上昇、各地で公共事業も進行し、それによって昨年はトラック販売が好調で、ここ数年の市場縮小から回復に向かっているとみられる。商用車市場の動向は、先行指標的に経済の回復傾向を表していると思う。その一方、まだ個人消費は低調なままだが、どこかでテイクオフするのを期待したい。
 ――戦略、取り組みは。
 MMCブランドの昨年の販売シェアは、2016年の6.7%から8.2%に上がった。ことしは10%のシェアを目指したい。しかし、ことしは売ることに加え、お客さまのケアに重点を置く年になる。エクスパンダーはいいスタートを切ることができた。しかし、エクスパンダーを購入されたお客さまの中には、三菱を経験したことのない人々も多く、三菱を買ってよかったと思ってもらえる努力が必要。アフターサービスなども含めた総合力でブランドの価値は評価される。インドネシアで愛されるブランドとして認められるための最初の正念場と考えている。
 ――EVのインドネシア展開について。
 現在の世界のトレンドは、サステイナブル(持続可能)な社会の実現にむけて、EVの普及に積極的といわれる。インドネシア政府も、EV優遇税を考えるなど前向きだ。しかし、インフラや電力供給の現状を考えるとEVの普及には課題も多い。いきなりEVというよりは、給油して走行できるプラグインハイブリット(PH)EVが現実的な可能性のある車両と考える。
 我々は、EVの研究・開発を進めてきた企業の一つとして、EV社会がどのようなもので、その普及のためにどのような課題を解決していく必要があるのか、知見を提供し、インドネシアに貢献していきたい。先月、10台の電気自動車と充電器を研究や実証実験のため工業省に寄贈したのも、その取り組みの一つだ。(太田勉、写真も)

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