メトロ・カプセル着工 バンドン市 初の準国産LRT
西ジャワ州バンドン市で12日、カプセル型車両の次世代型交通システム(LRT)「メトロ・カプセル」の建設が始まった。観光客などでにぎわい、渋滞も深刻化している国鉄(KAI)バンドン駅から南側のエリアを周遊する約8.3キロの路線に11駅を設置、2020年開通を目指す。98%をインドネシアが独自に造る初の準国産LRTとしても注目を集めそうだ。
メトロ・カプセルは幅2.4メートル、長さ9.3メートル、高さ3.6メートルのバス型の車両。全自動無人運転車両システム(APMS)で走り、運行速度は時速約60キロ。車両定員数は50人。1日当たりの利用者は2万4千人を想定し、運賃は6千〜7500ルピアになる見込み。
路線は高架式で11駅を設ける。国鉄主要駅のバンドン駅や、レストランやカフェなど飲食店が軒を並べるブラガ通り、1955年にアジア・アフリカ会議(バンドン会議)が開かれたムルデカ会館があるアジア・アフリカ通りなど、観光地としてにぎわう場所のほか、パサール(伝統市場)やモール、宿泊施設などが集まり混雑するエリアを周遊する。
同事業計画は14年に始動した。メトロ・カプセルの車両は17年4月からムルデカ会館近くのアルン・アルン広場の歩道に展示され、バンドン市のリドワン・カミル市長が交通インフラの目玉事業の一つとしてアピールしてきた。
同広場で12日に開かれた着工式で、リドワン市長は地元メディアに対し「ほぼ100%を、インドネシアのエンジニアたち、その多くがバンドン出身者によって造られる。海外から輸入するLRTと比べて、コストも3分の1に抑えられる」と説明。運行システムの一部となるソフトウエア開発をスロベニアに委託するが、それ以外の98%はインドネシア製が占めると強調した。
6月の西ジャワ州知事選に知事候補として出馬するリドワン市長は、「建設工事は1年半かかり、次期市長がお披露目することになるが、私が生み出した事業であることは歴史に記されるだろう」と述べ、着工にこぎ着けたのは自身の功績であることをアピールした。
建設は国営建設プンバングナン・プルマハン(PP)が請け負う。投資額は1兆3800億ルピア。地方予算は使わず、30年間のBOT(建設・運営・譲渡)方式で建設費は全て民間投資で賄う。
リドワン市長によると運輸省からの認可は取得したが、駅舎の建設許可手続きは終わっていないと説明、まず橋脚から建設工事を始めたいとしている。(毛利春香)