EC市場統計開始へ 統計局 売上高・流通額を把握

 電子商取引(EC)市場の概要を把握するため、中央統計局(BPS)は来年1月から、売上高や流通総額などの統計情報を収集する。2020年に1300億ドル(約14兆7千億円)規模に拡大させる目標を掲げる政府の「ECロードマップ」に活用する。 

 BPSは15日、ロードマップ実現のために国内EC市場を調査すると発表した。来年1月に電子商取引協会(IdEA)加入の全320社に質問票を送り、15、16年の年間、17年の月別データを回収、2月中旬に集約データを公表する。質問票には、少なくとも売上高や販売商品数、国内外からの投資額、流通総額、支払い方法、事業者数が盛り込まれる見込み。
 IdEAによると、最大手ラザダや地場系トコペディア、旅行トラベロカなど主要EC各社も含まれる。これまで米ニールセンや独スタティスタなど、海外の民間調査会社が独自に集計したデータはあったがばらつきがあり、指標となる政府機関による集約的なデータはなかった。
 BPSのスハリヤント局長は「現在と将来の経済を把握し、市場を見誤らないために大変重要だ」と意義を語った。さらに、統計によりインフレ率上昇を抑える役目もあるとしている。
 ニールセン・インドネシアは8月、国内のEC市場規模が15年時点で17億ドル(日本は690億ドル)で、25年に460億ドルに成長すると発表。スタティスタはことし10月、16年時点で57億8千万ドル、22年に164億7500万ドルと予測した。一方で、IdEAは16年の市場規模を75兆ルピア(55億5千万ドル)としている。
 政府は現在、EC事業者への付加価値税(PPn=VAT)課税案の策定を進めている。しかし、IdEAと政府側の協議の結果、BPSが集計する各社のデータを税務総局は閲覧できず、BPSの統計データのみを税務手続きに活用することが決まった。IdEAのイグナシウス・ウントゥン経済ビジネス部長は15日、経済紙コンタンウェブ版に「多くが私企業でデータを公表する義務はない」と理由を説明した。
 デジタル経済の発展を加速させたいジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は、8月3日付で大統領令(17年47号)を発令し、17〜19年までのECロードマップを策定。投資▽徴税▽消費者保護▽人材育成▽通信インフラ▽物流▽サイバーセキュリティー——の7分野で制度構築や拡張などに関するプログラムを進めている。
 政府主導の成長推進策で発展が見込まれるEC業界だが、IdEAによれば、国内ECの総流通量のうち、中国などから輸入した外国製品が95%を占める。
 国内経済の発展には国産製品の取扱増加が不可欠。政府は20年までに5600万いるとされる中小・零細事業者(UMKM)のうち、800万事業者のオンライン店舗開設を支援するプログラムを実施。11月時点で460万事業者をオンライン化した。(中島昭浩)

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