一時移転先を建設中 スネン市場 ブロック6の再開発で
ジャカルタ特別州最古の伝統市場(パサール)である中央ジャカルタのスネン市場で、ブロック6の再開発に伴い、商人・入居業者の一時移転先となる建物の建設が急ピッチで進められている。州政府は同市場を公共交通機関や住宅などを含んだ複合施設として再開発し、近代化・活性化を目指す計画で、2018年にブロック6は取り壊され、新たな商業施設が建設される。
スネン市場はブロック1〜6に分かれ、相次ぐ火災や老朽化などで、商店の移転や建て替えなどが続いている。ブロック6も16年6月に火災があり、天井のコンクリートが崩落するなど老朽化も進んでいた。
同市場を運営・管理している州営パサール・ジャヤによると、ブロック6には現在、2200店を超える商店や売り場がある。
一時移転先の建物は3階建てで敷地面積3千平方メートル。年内に工事を終え、18年1月には移転が可能になるという。
同州政府は、国鉄パサール・スネン駅やバスターミナルなどの公共交通機関に隣接する同市場を巻き込み、商業施設や住宅などを複合的に開発する公共交通指向型開発(TOD)を進める。
すでに10月には低所得者層と中間層向けに公営高層住宅(ルスナミ)の建設に着工している。
27年間、ブロック6で商いを続けてきたタヒドゥア・パンジャイタンさん(57)は販売場所を借りて商売をしていたが、10月に追い出されたという。再開発に伴い、所有者が販売場所を手放したためで、今は移転先近くの歩道橋で洋服用のベルトや時計などを販売している。
タヒドゥア夫婦が稼ぐ月収は600万ルピア程度。「一時移転先では毎月150万ルピア以下で場所を借りて商いができる。モールや伝統市場がたくさんでき客足は減ったが、ここは立地が良い。ジャカルタ最古のパサールをアピールし、(他の商業施設との)違いを生かせば、観光地にもできる」と、今後もスネンで商売を続けるつもりだ。
一方で「政府は伝統市場にお金をかけすぎ。市場やモールはもう十分ある。むしろ市場で野菜などを販売する農家らが減っているから、農業支援にお金を回すべきだ」とも話した。
現在スネン市場では、14年4月に火災に見舞われたブロック3でも立て替えが進んでいる。ブロック1、2は1月19日の大火災で燃えた後、9月に取り壊されて現在は更地のまま。1と2で店を失った商人らはブロック5に移動し、商売を続けている。(毛利春香、写真も)