【スナンスナン】アグン山を眺めながら バリ・アメッド 客足遠のいた漁村

  バリ島東海岸にある静かな漁村アメッド。すぐ沖にバリ有数のサンゴ礁が広がり、ダイバーや一般の観光客にも人気の場所だが、この数カ月はアグン山噴火警戒のあおりを受けてめっきり客足が遠のいている。火口から約14キロ、立ち入りが規制された半径12キロからは少し外れたアメッドを訪ねた。

 村に入ってすぐのところにある地元経営のこじんまりとした宿に泊まった。全部で11部屋のうち、埋まっていたのは2部屋だけだった。火山性の黒い砂の海岸に出ると左手にアグン山が大きく迫ってきた。インドネシア語で「偉大」「高貴」の意味にふさわしい姿。山頂からは白い煙が上っているのがはっきり見て取れた。バリに住むようになって13年、これまでアグン山はそばで何度も見ているが煙を見たのは初めてだ。
 噴火警戒レベルは先月29日、最高から1段階引き下げられた。「ハイシーズンが始まる頃なのに、アグン山のせいで客がゼロの日もあった。今はまだ少しだが、予約が入るようになった」と宿のスタッフは話した。観光客向けのレストランを経営するクトゥットさんは、アメッドの住民で避難した人は1人もいないと強調した。「たとえ噴火しても、溶岩は全部反対側に流れるから、被害は受けない。だからこそ、遠い昔から人が住み始めて、漁をしたり、塩を作ったりしてきた」と話した。
 宿は決める前に何軒か見て回ったが、常連のダイビング客で満室というところもあるにはあった。インドネシア人一組を除いて全員が欧州人で、デンマークから来た若い夫婦は警戒レベルの引き下げでアメッド行きを決めたと話した。「最初ウブドへ行って、次にロンボク島のギリに行って、危険ではなくなったと聞いてアメッドにも立ち寄ることにした」
 朝食のあと海に入った。10メートルほど沖に行くと、左手に見えていたアグン山が今度は真正面に完全な姿を見せた。風も波もない湖のような穏やかな海。水は暑さしのぎにちょうどいい冷たさで、かなり塩辛い分、体が浮きやすいように感じた。足がまだ届く深さでサンゴや鮮やかな色の小魚が見えてきた。これほどダイビングやシュノーケリングに適した海は他にちょっとないように思えた。(北井香織、写真も)

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