小売業界にECの波 地場系再編も外資拡大

 地場系小売りチェーンの店舗再編が続いている。外資は店舗網を拡大。電子商取引(EC)ウェブサイトでの買い物が市民に浸透し、実店舗への客足が減少が懸念される中、スリ・ムルヤニ財務相は「税収から見れば購買意欲はまだ旺盛。デジタル化がどんな変化をもたらしているか、旅行など他業界を含め経済動向を注視する」との見解を示した。

 小売り大手ミトラ・アディプルカサ(MAP)は、10月末に中央ジャカルタ区の映画館ジャカルタシアターに隣接する百貨店(デパートメントストア)ロータスを閉店する。百貨店事業再編の一環で、採算の取れていないロータス2店舗とデベンハムズ1店舗を年内に閉じる。
 代わりに、展開する「ソゴウ」「セイブ」「ラファイエット」など特別感のあるブランドに注力し、年末までに200店舗を新規出店。前年比13%の増収を目指す。
 MAPは、国内69都市に約2200店舗を抱える。6月までの売上高の87%は衣料などの非飲食料品部門が占め、「ZARA」など58ブランドを扱うファッション部門は好調。地場系では、マタハリやラマヤナもそれぞれ2、8店舗を閉店し再編を進めている。
 一方で、昨年6月に参入したアラブ首長国連邦(UAE)のルル・ハイパーマーケットは、ことし9月に2号店をバンテン州南タンゲラン市にオープン。計5億ドルを投資し2019年までに10店舗に拡大する。
 昨年10月、西ジャワ州ボゴール県に1号店を開いた韓国のGSスーパーマーケットは、ことし10月までに3店舗目を開いた。18年に全国で200店舗を展開する計画。いずれも豊富な資金を元にジャカルタ郊外に焦点を絞って出店し、シェア拡大を狙っている。同じ韓国のロッテ・グループは新たにECサイト「iロッテ」を開設した。
 スリ財務相はこのほど、財務省での講演会でロータスの閉店に触れ、「消費者がオンラインを活用している」と分析、実店舗からECサイトに店舗を移したり、新規出店からオンラインを主戦場にしたりするケースも増えていると指摘した。
 ドイツの調査会社スタティスタによると、インドネシアのEC市場規模は現在75億6千万ドル。利用者は2810万人ほどで、35〜40%が衣料品を購入している。中間所得層の拡大を追い風に1人当たりの年間売上高も増加。ことしは251.35ドル、22年に375.32ドルに達すると予測している。
 インドネシア中銀の調査では、8月の小売売上高指数は前年同月比2.2%増の202.1ポイント。同月は特段イベントはなかったが、水準としては商戦期に当たる15年のレバラン(断食月明け大祭)があった7月の204.2に近く、消費は増加している。
 ダルミン・ナスチオン経済調整相は、購買意欲の減退を指摘する地元メディアに「ビジネスに競争は常にあり、(店舗の縮小は)日常茶飯事」とくぎを刺した。(中島昭浩、写真も)

経済 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly