新旧知事が初会談 アニス知事とジョコウィ大統領 インフラ整備を協議
ジャカルタ特別州のアニス・バスウェダン知事は25日昼、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領とイスタナ(大統領宮殿)で会談した。首都の新旧知事でもある2人は来年開催のアジア大会に向け、インフラ整備について意見を交わした。一方、アニス氏が「中止」を掲げる人工島問題についての議論は見送られた。
アニス氏はジョコウィ政権で教育文化相を務め、昨年7月の内閣改造で退任。知事就任後、ジョコウィ氏との初会談となった。
2012年から2年間、ジャカルタ特別州知事を務めたジョコウィ氏との会談にあたり、アニス氏は「彼は市を率い、州を率い、そして今は国を率いている。きょうはその経験を聞くために集まった」と述べた。
会談は約1時間行われ、大統領府によれば、大量高速鉄道(MRT)や次世代交通システム(LRT)、歩道整備など、来年8月に開幕するアジア大会に向けたインフラ整備が主題になった。
知事就任5日目の20日にもMRTの建設現場を視察したアニス氏は「プロジェクトが期限どおりに実行され、優れたものになるようにする」と意気込みを伝えた。
一方、中央政府との間ですり合わせが必要なジャカルタ湾の人工島問題についての話し合いは見送られたもようだ。アニス氏は会談後、地元記者団に「(人工島の議論は)なかった」と述べた。
人工島をめぐっては、アホック元知事の在任当時、造成推進派の州と反対住民の意見が対立し、一部の島の造成が中断されるなど問題になった。中央政府はことしに入り、州政府や業者に開発許可を与えるなど、造成に前向きな姿勢を示している。
だがアホック元知事に代わり、「人工島中止」を目玉公約に掲げるアニス氏が就任したことで、事業が再び滞る可能性が出てきた。
そのアニス氏はこのほど、知事就任前の8月に、人工島開発業者や華人実業家のトミー・ウィナタ氏と面会していたと報じられた。知事選でアニス氏を擁立したグリンドラ党のプラボウォ党首が引き合わせたもので、人工島事業にかかわる合意はなかったとされている。
アニス氏は24日、地元メディアに対して面会の事実を認める一方、人工島の開発計画などを聞いただけだと説明。「(事業を中止するよう)圧力や指示をかけるようなことはなかった」と主張した。(木村綾)