マセラ鉱区権益延長へ 東京でINPEXと会談 エネ鉱相20年間示唆

 訪日中のイグナシウス・ジョナン・エネルギー鉱物資源相は18日、国際石油開発帝石(INPEX)が権益を持つ東南アジア最大級のガス田・アラフラ海マセラ鉱区アバディ液化天然ガス(LNG)開発について、権益を20年間延長する方針を示した。今後の交渉の結果延長が実現すれば、LNGの安定供給体制の進歩が見込まれる。

 ジョナン・エネ鉱相は訪日中にINPEX本社を訪問し、マセラ鉱区で陸上でのプラント建設を推進する意向をあらためて表明。また、産出国と生産物を分け合う権益について協議し、20年の延長を示唆したという。プラントを建設する場所の選択については、INPEXにある程度配慮する意向を示した。
 INPEXは1998年にマセラ鉱区の権益を取得。INPEXが65%、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが35%の権益を持つ。30年間の28年までが期限だった。
 INPEXは開発当初、洋上にLNGプラントを浮かべて、年産約250万トンを採掘するプランを構想、10年に政府の承認を得た。14年に再度提出した改定開発計画では、その間の作業の結果、年産750万トン規模の処理能力が最適とした。総工費は約150億ドル以上。投資価値は300億ドルと推定された。
 しかし、リザル・ラムリ前海事調整相が洋上から陸上への変更を提案、16年3月、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が陸上案を採用して開発方針の変更を決定し、INPEXの計画は白紙に戻った。
 ジョナン・エネ鉱相は18日、複数のメディアに対して「陸上プラントを建設して鉱区周辺の開発を促進、マルクとヌサトゥンガラに新たな経済資源を創出する」と説明。雇用や建設機材の需要を土台にした地方経済振興の必要性が背景にはある。
 ことし5月に両者は合意、プレ・フィード(陸上プラントの基本設計業務の予備段階)の開始に向けて動き出した。予定より開発が遅れる見込みが高まったため、権益の延長期間が懸念材料の一つになっていた。
 今回の合意では、洋上案推進やその見直しにかかったとして7年間を延長期間に算入、最長で55年まで採掘することが可能となる。プラントやガスパイプラインの能力については、まだ両者の主張に隔たりがあり今後協議が必要だ。
 大手プラント建設企業幹部はじゃかるた新聞の取材に対し、「マセラの陸上プラントはインドネシア最大クラスの案件となる。何とかこのまま進展してほしい」と語る。
 エネ鉱省幹部は「現段階では何も話すことはない」、INPEX広報は「権益延長については現在交渉中」と話すにとどまった。(平野慧)

経済 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly