58年ぶり公式訪問 違法漁業対策で協力 ベトナム最高指導者と会談 大統領
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は23日、ベトナム最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長と会談し、海上保安など6分野で協力することで大枠合意した。同国共産党書記長の公式訪問は58年ぶり。インドネシア海域でベトナム漁船の摘発が相次ぐ中、違法漁業対策でも協力していく方針を確認した。
外務省によると、ベトナムの共産党書記長が来イするのは、同国のホー・チ・ミン初代国家首席が1959年にスカルノ初代大統領と面会して以来。ジョコウィ氏とチョン氏は中央ジャカルタのイスタナ(大統領宮殿)で会談した後、合同で記者会見した。
インドネシアではベトナム漁船の摘発が相次いでおり、違法漁業が問題となっていた。リアウ諸島州ナトゥナ諸島沖では5月、ベトナム漁船5隻をインドネシア側が摘発した際、ベトナムの海上警察船が妨害し、インドネシア人のパトロール隊員1人を連れ去る事態も起きた。
ジョコウィ大統領は合同記者会見で、「持続可能な漁業の実現に向け、インドネシアの提案内容を進めていくことで一致した。違法・無報告・無規制漁業の撲滅でも協力していく」と説明。海上保安をめぐっては、インドネシアの海上保安庁(BAKAMLA)とベトナムの海上警察が協力することで大枠合意した。
ナトゥナ諸島沖の南シナ海で、両国の排他的経済水域(EEZ)が接している問題についても議論し、ジョコウィ大統領は「EEZ境界線について、交渉のプロセスを早めることで合意した」と説明した。
両国はこのほか、教育、村落開発、炭田、国境周辺でのガス利用、法務の各分野で協力の覚書を交わした。経済分野では、2016年に6億2千万ドルだった二国間貿易額を、18年に100億ドルまで増やす目標などを改めて確認した。(木村綾、アリョ・テジョ)