民族や国籍を超え 共に祝う独立記念日

 独立記念日の17日、全国各地で国旗が掲げられ、運動会などの催しで盛り上がった。宗教や民族、国籍の違いをも超えて、地域ごとに一丸となって独立72周年を祝い、多様な統一国家インドネシアを再認識する機会となった。
皆、インドネシア人 ―華人街・グロドック
 西ジャカルタの華人街グロドック。ジャカルタ最古の中国寺院である金徳院前でも運動会が開かれた。地元の人たちだけでなく、参拝客や外国人観光客も足を止め、腰からぶら下げた磁石で瓶を釣り上げるゲームやウナギつかみなど、ユニークな競技に見入った。 
 金徳院に訪れた会社経営者のアグス・ゴザリさん(44)は「きょうは国全体で独立を一緒に祝う日。集まってにぎやかに祝えることがうれしい」と運動会の雰囲気を楽しんでいた。 
 会場となったグロドック第1町内会(RW)のフェリー・スティアワン会長(66)によると、住民の8割は華人。毎年この場所で、民族を問わずに住民たちが一丸となって独立記念日を祝っているという。「不寛容が叫ばれているけれど、あくまで政治の問題だと思う。私たちは皆、インドネシア人。誰でも参加でき、みんなで祝うのが独立記念日だよ」と話した。
外国人も一緒に ―ジャラン・ジャクサ
 中央ジャカルタの安宿街ジャラン・ジャクサで開かれたイベントには、フランスやオランダなど外国人も参加した。観光客らを交え、国籍を超えて祝いたいという思いから20年ほど前から開催されており、司会進行は主に英語で行われた。 
 「ことしも1位になれなかったよ」と話したのはクルプック(揚げせんべい)早食い競争に参加したオランダ人のマーシェル・ヴェルハウゼンさん(53)。2013年12月からエンジニアとしてジャカルタに住んでおり、これまでに2回、同イベントに参加したという。 
 「国籍、人種など関係なくみんなで独立記念日を祝おうという雰囲気がある。(旧宗主国の)僕の出身を聞いても誰も何も言わないし、むしろ笑顔で一緒に参加しようよと言う。友だちもたくさんできるからね。毎回みんなで楽しむんだ」と話す。 
 早食い競争でカップルで優勝し会場を盛り上げたのは、フランス人観光客のヘンディーさん(27)とボーイフレンドのベンさん(27)。ヘンディーさんは「インターネットで調べて、これらの遊びが伝統的なものだと知っている。みんなとっても温かく迎えてくれて、声を掛けてくれた。参加して良かった」と話した。
国表す姿の一つ ―カリジョド公園
 北、西ジャカルタ両区にまたがるカリジョド公園では、同公園でイベントなどを企画している団体「コムニタス・カリジョド・インタラクティフ」主催の運動会が16、17両日に開かれ、近くに住む住民や公園で働く清掃員や警備員ら400人以上が汗を流した。 
 綱引きや袋に入って走るレースなど約10種目を実施した。企画したダイン・ジャマルさん(37)は「宗教、出身地、民族、年齢、仕事、性別などが、それぞれ異なるのは当たり前のこと。参加者全員が一つの家族のような気持ちで祝い、楽しむ運動会は、笑顔も真剣な顔も見ることができる伝統行事。これもインドネシアという国を表す姿の一つだ」と話した。(木村綾、上村夏美、毛利春香)

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