「日イ協働の好機に」 高齢者向けサービス紹介 ASLI ブカシ県で展示会開催
介護など高齢者向けサービスを手がける、日イの10企業が加盟するインドネシア・シニアリビング協会(ASLI)は12日、西ジャワ州ブカシ県チカランのコタ・ジャバベカ内にある介護付き高齢者住宅の敷地内で、介護サービスや介護用品、健康機器などを紹介する展示会を開いた。インドネシアを含むアジア地域の高齢化を見据えたイベントで今回が4回目。
オープニングスピーチで、日本貿易振興機構(ジェトロ)ジャカルタ事務所の春日原大樹所長は「アジア健康構想を進める日本政府の政策がある中で、(高齢者向けサービスなどの)事業はインドネシアと日本が協働する絶好の機会」とあいさつした。また、インドネシア観光省関係者は「オーストラリアや東南アジア諸国連合(ASEAN)からのシニア観光客増加につながることを期待する」と話した。
6月下旬に改定された国連の世界人口推計によると、東ティモールを含む東南アジア域内の高齢化率(全人口に占める65歳以上の割合)は8・8%(2015年)。今後、高齢化が進み、35年には17%、50年には23・9%へ高まると予想される。インドネシアも15年の7・6%から、35年には14・3%、50年には20・7%になるとされる。
アジア地域で進む高齢化に合わせ、日本政府は高齢化社会に対応する社会制度や産業などを官民一体で推進する「アジア健康構想」を掲げ、今後、日本の事業者などの市場をアジアに拡大していく考えだ。
同展示会は同構想に沿って開かれ、在インドネシア日本大使館やジェトロ・ジャカルタ事務所、海外産業人材育成協会(AOTS)、インドネシア観光省などが後援した。
会場では、高齢者ケアサービスを紹介するセミナーが開かれたほか、インドネシアのおむつメーカーや日本の医療機器メーカー、ブカシ県内の病院、チカラン日本人会の浴衣着付けコーナーなど15のブースが並んだ。
血圧計のブースで来場者の対応に当たっていた保険会社勤務のクリステラ・ネンシー・シホンビンさん(37)は10〜14年、経済連携協定(EPA)に基づき看護師実習生として東京都内で働いた経験を持ち、「インドネシアではこれから確実に高齢者が増える。進んだ日本のケアサービスはさらに需要が高まると思う」と話した。
展示会会場となった介護付き高齢者住宅を運営するロングライフホールディング(本社・大阪市北区)の北村政美副社長は「このようなケアサービスがあるということをインドネシアの高齢者の方に知ってもらえれば」と話した。
会場内の特設ステージでは、インドネシアのシニア団体によるファッションショーやチカランソーラン部、チカラン軽音部など約20組が歌やダンスを披露した。(上村夏美、写真も)