波紋呼ぶ1枚の写真 オオトカゲの餌用に シカを「大量虐殺」? 「無関係」と反論 コモド国立公園
コモドオオトカゲに関連した1枚の写真がインターネット上で話題になっている。被写体は10頭を超えるシカの死骸。「(同オオトカゲが生息する東ヌサトゥンガラ州の)コモド国立公園では、オオトカゲの餌にするため鹿が大量虐殺されている」との説明が付き、動物愛護団体などから非難の声が上がっている。
これに対し、同国立公園側は、撮影地や撮影日などが不明なことを指摘した上で、「写真に写っているシカの死骸はボートに載せられており、公園とは無関係」と反論。
現在は、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のフェイスブック(FB)に問題の写真を投稿したインドネシア人男性に連絡を取るなどして、詳細を確認中という。
同公園では、シカ肉を使ってコモドオオトカゲを集めるショーを観光客向けに続けている。それだけに「大量虐殺されたシカはショー用」との疑念をぬぐい去るのは難しいようで、FBには「(オオトカゲではなく)シカが絶滅してしまう」、「なぜ事態を放置するのか」などの書き込みが相次いでいる。動物保護団体も「シカを大量虐殺し、(同公園のある)コモド島の生態系を破壊している」と非難している。
写真の巻き起こした波紋はさらに広がる様相を呈している。警察は「シカ大量虐殺」の捜査に着手。さらに、東ヌサトゥンガラ州西マンガライ県の副知事も「投稿された写真と説明が事実ならば、オオトカゲの数を減らす必要がある」と発言する事態となっている。
コモド国立公園は、コモド、リンチャ、パダール各島にまたがる。1991年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界自然遺産に登録され、少なくとも2500頭のコモドオオトカゲが生息している。(上村夏美)