国産ウナギ産業 産官学で振興を 3月に業界団体発足 初のうなぎ祭り開催も

 インドネシア政府と自治体、事業主、大学らが連携し、ウナギ産業を育成・振興する試みに取り組んでいる。29〜30日には、3月に発足したばかりのインドネシア・ウナギ実業家協会(GAPISI)が南ジャカルタ区パンチョランで「インドネシアうなぎ祭り」を初開催。国産ウナギを国内外で広く知ってもらおうと、会場にはインドネシア人向けの加工食品や、日本人に馴染み深いかば焼きなどが並んだ。

 GAPISIによると、国産ウナギは、ニホンウナギの減少に伴う需要の高まりで、インドネシアの新たな産業の一つとして期待が寄せられている。
 世界にいる18種類のウナギのうち、7種類はインドネシアに生息。新たな観光地として、ウナギセンターを開設する計画もある。アンバル・バスキ会長は「水産業としてだけでなく、インドネシアの文化の一つとしてウナギ産業を盛り上げていきたい」と話した。
 今後は、今回の祭り開催に協力した海洋水産省や観光省、ウナギ研究で有名な中部ジャワ州ソロのスブラスマレット大学(UNS)など、産官学が連携して活動を広げていく。
 GAPISI主催の「うなぎ祭り」には、連携の一翼を担う養殖、加工業者、地方自治体などが、西ジャワ州ボゴール県やブカシ県、東ジャワ州スラバヤ市やトゥルンガレック県、中部スラウェシ州ポソ、北スラウェシ州マナドなどから参加し、会場内に約20のブースが並んだ。
 西ジャワ州ボゴール県パミジャハン郡に養殖場と加工工場を持つ民間企業「ラジュ・バニュ・セメスタ」は、インドネシアで広く親しまれているバッソ(肉団子)やタフ(豆腐)、ぺぺス(バナナの葉で包んで蒸した魚)などにウナギを使用した加工食品や、ウナギの粉末を紹介、販売した。
 オーナーのクリスナ・ダリ・バハリさんによると、地元のインドネシア人がウナギを食べる機会はほとんどないが、「インドネシア人なら誰でも知っている料理と、ウナギを組み合わせた商品なら受け入れてもらえると思う。価格も3万5千ルピアからで、日本料理店に行くよりはお手ごろ。国産のウナギをより身近に味わってほしい」と話した。
 加工食品については「揚げたりスープの具にするなど普通のインドネシア料理として使える。栄養価の高いうなぎの粉末は、体調が悪い時におかゆに入れて食べたり、ナシゴレンにいれたり、アレンジはいろいろできますよ」と話した。
 東ジャワ州海洋水産局も、同州ルマジャンで養殖したウナギの皮を揚げた商品などを紹介し、アピールした。同県水産局のハリ・ディエンさんは「他にはない商品で、インドネシア人にも手に取ってもらいやすい商品を開発していきたい」と話した。
 西ジャワ州ブカシ県チビトゥンに養殖場を持つ企業「シェル・シダット」は、生きたウナギを会場内でさばき、炭火で焼くこだわりのかば焼きを販売した。オーナーのエデス・サプトラさんは「詳しいレシピは秘密。日本人の好みに合うよう、タレの開発などこだわってきた。香ばしくてとっても美味しいですよ」と胸を張る。
 現在、養殖場として活用している土地は約100平方メートルと小規模。2年前から養殖の方法を学び始め、エサやタレの開発に取り組んできた。エデスさんは「エサの材料はすべてオーガニック。今後はエサの販売も手掛けたい。今はとにかく、おいしいインドネシア産のウナギを広く知ってほしい」と意気込んでいる。(毛利春香、写真も)

社会 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly