きょうからラマダン 聖なる月 一体感強め自己鍛錬
宗教省は26日夜、27日からイスラム暦(ヒジュラ暦)1438年のラマダン(断食月)に入ると発表した。全国77カ所で実施した月の観測結果を、イスラム団体らと協議して決定。約1カ月間、日中の飲食を断つプアサ(断食)が始まる。
ラマダン中、ムスリムは日中の断食に備えて日の出前にサフール(早朝の食事)を取り、ブカ・プアサ(日没後の食事)で家族や友人らと共に空腹と喉の渇きを癒やす。
会見したルクマン・ハキム宗教相は、聖なるラマダンの月の本質を理解してほしいと説明。「すぐそばにいる人が私たちとは違っていても、彼らの尊厳が維持され、福利を得ているかどうか、自分自身に問いかけましょう。自省を通じ、私たちの宗教をより良いものにしていこう」と呼びかけた。
全国90カ所で月の観測を進めてきた国内最大のイスラム団体ナフダトゥール・ウラマ(NU)や第2のムハマディヤも、ラマダン初日を同じ27日と発表した。
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領も同日、西ジャワ州ボゴール市のイスタナ(大統領宮殿)からラマダン入りを祝い「私たちは一つの国家として、一体感や家族のつながりをより強くすることができる」と話した。
ラマダン中は1年で最もムスリムの信仰心が高まる時期で、飲食を断つだけでなく、感情を抑えたり、行動を慎んだりする自己修練の機会。ナイトクラブやカラオケなどの娯楽施設の営業も制限される。
26日にはラマダン入り前夜の礼拝「タラウェ」が各地で行われ、東南アジア最大級のイスティクラル・モスク(中央ジャカルタ)でも午後8時半ごろ、大勢のムスリムが集まり集団礼拝に臨んだ。
家族連れが多くタラウェが始まるのを待つ間は、幼い子どもたちが礼拝用のマットを母親や父親と一緒に敷く姿もあったが、モスク内ではしゃぐ子どもたちがほとんど。スマートホンを見たり、セルフィー(自撮り)をしたりしている人もいる一方、熱心にコーランを読む人もいた。
家族5人で西ジャカルタ区から同モスクを訪れた会社員のアダさん(41)。友人や家族との連帯感が強まるプアサが始まるのを、毎年とても楽しみにしているという。
アダさんは「プアサはつらいものじゃなく、僕たちにとって大切で楽しいものだよ。仕事があるし、毎日イスティクラルのような大きなモスクに来れるわけじゃないけど、祈りは欠かさずやるよ」と笑顔で話した。
ラマダン ヒジュラ暦の第9月で、預言者ムハンマドが初めて啓示を受けた月とされる。期間中、日中の飲食や喫煙、性交渉を断つ。病人や妊婦、月経中の女性、子ども、旅行者らは除く。断食はムスリムの義務「五行(信仰告白、礼拝、喜捨、断食、巡礼)」の一つ。ヒジュラ暦は太陰暦のため、新月の位置を観測してラマダン入りを判断する。(毛利春香、写真も)