アチェのシンボル刷新 2万4000人を収容 バイトゥラフマン・モスク
アチェ州バンダアチェ市にあるアチェのシンボル、バイトゥラフマン・モスクの改修工事が完了した。インドネシア西端にあり、「メッカのベランダ」と呼ばれるアチェは、インドネシアで最も早くイスラムが伝わった地域。国内外の観光客を誘致する名所として、新しい装いのモスクをアピールしていく。
大規模な改修は2015年に着工し、総工費は4580億ルピア。収容人数は9千人から2万4千人に拡大した。庭などの敷地面積は1万3千平方メートルで、強い日差しや雨から礼拝者を守ることができるよう、サウジアラビアのナバウィ・モスクにあるものと同様の電気傘を12台設置。広げたときの大きさは縦・横ともに24メートルとなる。さらに礼拝用スペースの床には大理石を使用し、32本のナツメヤシの木も植えた。
地下には広大なスペースを設けた。740平方メートルに礼拝前に手足などを洗う洗浄場「ウドゥ」を288カ所設けたほか、8400平方メートルの駐車場を完備、300台の車や350台のオートバイを収容できる。エスカレーターも設置した。
バンダアチェ市は04年12月のスマトラ沖地震・津波で甚大な被害を受け、バイトゥラフマン・モスクもがれきなどに埋もれた。アチェの人々の心のよりどころでもあるモスクは被災直後、真っ先に整備され、復興のシンボルにもなった。モスクの近くには津波博物館などが造られ、災害被災跡地を訪れて学ぶダークツーリズムが活発化。世界の著名人たちも多数訪れている。
改修完了を記念して13日に開かれた式典には、ユスフ・カラ副大統領が出席した。モスク評議会の議長も務めるカラ副大統領は「完成したバイトゥラフマンはインドネシアを象徴するモスクだ」と話し、「モスクにおける繁栄とは、美しいことはもちろん、礼拝に多くの人が訪れ活気があること。さらに社会に有益なものでなければならない」と語った。(毛利春香)