80.90年代にギャップ ミレニアル世代の市場戦略 博報堂、アセアンで調査

 博報堂の独自シンクタンク「博報堂生活総合研究所アセアン」は17日、南ジャカルタ区スディルマン・セントラル・ビジネス地区(SCBD)で、東南アジア諸国連合(ASEAN)のミレニアル世代をテーマに「アセアン生活者フォーラム」を開いた。平均年齢が低いアセアン諸国はミレニアル世代も多いが、ひとくくりにされている80年代生まれと90年代生まれの間には世代間ギャップがあり、マーケティング戦略では異なるアプローチが必要とした。

 調査は、シンガポール、クアラルンプール、バンコク、ナコンラチャシマー、ジャカルタ、スラバヤ、マニラ、ハノイ、ホーチミン、ヤンゴンの7カ国・10都市の15〜59歳の8100人を調査。家庭訪問なども実施した。集まったデータから70、80、90年代に生まれた3世代を比較。さらにプレゼンテーションでは、それぞれの世代に生まれた人が自身の経験を語った。
 70年代生まれは、経済危機や政情不安など過去の困難で辛い出来事が大きく影響しており、安定、安心、安全を優先し、確実にステップアップしたいという要求が強い。
 続いて80年代生まれは、過去の困難な経験が記憶にある一方で、思春期以降のデジタル化の影響も受けている。リスクを最小化しつつ機会は逃したくないため臨機応変に対応し、仕事もプライベートも充実させたい傾向があるという。
 一方、90年代生まれは、デジタル技術が生活にすでに浸透しており、現実とバーチャルの世界を同一のものとして認識。現在と未来に起こる出来事に、より影響を受ける。苦労した経験は少なくさまざまな機会に恵まれており、リスクよりもチャンスを取り、自分の好きなことをしたいという欲求が強いという。
 歴史的背景を見ると、98年のアジア通貨危機の際、75年生まれは23歳、85年生まれは13歳、95年生まれは3歳。携帯電話については、インドネシアで88年に生まれた世代が、15歳を迎える2003年に初めて携帯電話を手にしている。またフェイスブックが公開となった2006年は、75年生まれは31歳、85年生まれは21歳、95年生まれは11歳。
 インドネシアでは、90年代生まれに対しギャップを感じると答えた80年代生まれは65%、90年代生まれから80年代生まれに対しても同じく65%だった。アセアン全体ではそれぞれ70%と、66%だった。
 マーケティング戦略においては、自分を認めてもらおうと厳選・編集する傾向がある80年代生まれへのブランディングには「演出家」の視点がポイントとなる。ベストな自分、演じたいキャラクターに近づけるよう刺激することが大切だという。
 90年代生まれには「相棒」。嘘偽りがなく良い面も悪い面も見せ、素の自分でいられるよう接してくれることが重要だと分析。「ミレニアル世代はひとくくりにできない」とまとめた。(毛利春香、写真も)

◇ ミレニアル世代 一般的に1980.90年代に生まれ、現在は17〜36歳の間の世代を指す。新しい価値観を持ち、デジタル分野での理解力が高く、ソーシャルネットワークでの影響力も高いなど旧世代との違いが大きく、これまでのマーケティング方法が通用しにくい世代といわれていることから、注目を集めている。

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