総額45億ドル融資契約 75%の事業資金確保 高速鉄道、工事本格化へ 中国と締結

 ジャカルタ〜バンドンの高速鉄道を建設する企業連合の高速鉄道インドネシア・中国(KCIC)は14日、北京で国家開発銀行と45億ドルの融資契約を締結したと発表した。2019年5月末の開業を目指して事業が本格化するが、土地収用など多方面で問題は山積している。                                   
 中国が提唱する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」サミット開催に合わせて締結した。
 KCICのハンゴロ・ブディ社長は総事業費を60億ドルと見積もっており、75%に当たる資金を確保した。第一弾として、約10億ドルの融資が今月中に実施される。KCICはことし1月に開始した工事を本格化させる方針だ。
 地元メディアによると、融資金額は建設費用のほか、土地収用費にも充てる予定だという。中国国家開発銀行は以前から融資条件として、鉄道建設地周辺の土地収用を条件として求めていた。一定のめどが立ったと判断された格好だが課題は残る。
 4月に西バンドン県の住民が収用に反発し、住居の移転を強要させられたとして国家人権委員会に通報、反対運動が続いており、状況次第では第二段階以降の融資時期にも影響が出ることが予想される。
 資金的な不安もある。KCICは当初総事業費を約52億ドルとしていたが、地価高騰に伴う土地収用向けの費用の増大が想定以上だった。また、土壌調査により、当初の計画にはなかったトンネル建設が決まるなど建設設計の変更に伴うコストもかさんだ。リニ・スマルノ国営企業相は「国家開発銀行と(さらなる)融資に向けて協議中だ」と説明している。
 高速鉄道建設は142キロを45分で結ぶ計画。ジャカルタ特別州と西ジャワ州カラワン、バンドンに四つの駅を設置する。
 建設をめぐっては、日本と中国が競合しインドネシア政府の姿勢も二転三転した。建設実績や安全面をアピールした日本に対して、政府保証なしの融資など初期投資の負担の軽さをうたった中国に軍配が上がり、16年1月には起工式が行われた。
 当初は時速200〜250キロの中速鉄道を予定していたが、350キロ規模の高速鉄道に変更するなど計画を修正。融資により、土地収用などで遅れていた工事の進展が期待される。(平野慧)

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