アニス氏58%で当選 100万票を上乗せ

 ジャカルタ特別州総選挙委員会(KPU)は5日、4月19日にあった同州知事選の決選投票の結果、アニス・バスウェダン前教育文化相(47)が得票率57.96%で当選したと発表した。アニス氏は2月の第1回投票から100万票以上を増やし、州内の全区県で現職のアホック知事(50)を抑えて勝利した。

 3候補が戦った第1回投票(2月15日)ではアホック氏(得票率42.99%)が首位、アニス氏(同39.95%)と共に決選投票に進んだ。ユドヨノ前大統領の長男、アグス・ハリムルティ・ユドヨノ氏(38)は得票率17.06%で敗退した。
 決選投票の結果はアホック氏が235万366票(得票率42.04%)、アニス氏が324万987票(同57.96%)だった。アグス氏の敗退で唯一のムスリム知事候補となったアニス氏は、アグス氏支持層の票を全て上乗せし、前回から104万3654票増やした。一方のアホック氏は前回より1万4211票減らした。
 決選投票の有権者数は721万8280人。投票率は77.08%で、第1回投票より1.33ポイント増加し、関心の高さを伺わせた。

■頭金なしローンを優先
 5日、同州KPUで会見したアニス氏は、「5年間で徹底的に仕事をする」と意気込みを語った。知事の任期途中で、2019年大統領選に出馬するとの臆測も飛び交っているが、「大統領選に関する政治的約束は存在しない」と否定、22年までの知事の任期を全うしたい考えを示した。
 アニス氏が知事に就任する10月に向けて、選挙期間中に打ち出した公約への注目が高まっている。
 同氏を擁立したグリンドラ党幹部らのこれまでの発言によれば、知事就任後100日以内に優先的に取り組む公約は、頭金なし住宅ローン▽各郡に起業支援センター(OK―OCE)▽低所得者向け奨学金の教育カード(KJP)の拡充――の三つ。
 特に頭金なし住宅ローンは低中所得層の市民からの関心が高い。アニス氏は5日の会見後も報道陣に囲まれ、「頭金なし住宅ローンは記者にも適用されるか」などと質問攻めされ、「給料が月700万ルピア未満であれば、記者も適用内だ」とコメント。一方同日、州庁舎で記者団の取材に応じたアホック知事は、頭金なし住宅ローンを現行の2017年予算に組み込むのは難しいとした上で、「18年予算に組み込めばよい。ただし、(実現には)きちんと資金を用意する必要がある。金はどこから出すのか。州にはできない」と実現性に疑問を呈した。
 次期副知事で実業家のサンディアガ・ウノ氏(47)が推してきた小規模ビジネス支援制度「OK―OCE」はキャッチーな呼称が市民に浸透している。就任前にすでに「OK―OCEマート」やコーヒーショップを市民にオープンさせるなど、実現可能なプログラムであることをアピールする。
 KJPは、アホック氏の政策を拡充させる形で継承する。アニス氏はこの日、「(チャットアプリの)ワッツアップで直接連絡を取っている」と話し、アホック氏と連携して就任準備を進めていることを明かした。(木村綾、写真も)

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