メーデー、200万人行進 「最賃算出方法の改定を」
メーデーの1日、全国の労働組合は各地で集会を開催した。組合の発表によると、全国32州250県・市で200万人超の組合員がデモに参加、うち首都圏と西ジャワ州カラワン、プルワカルタでは計約15万人だった。
労組側はことし、三つの要求内容の頭文字を取った「ホスジャトゥム(HOSJATUM)」を合言葉に掲げた。「HO」はアウトソーシングと研修・技能実習制度の廃止、「JA」は健康保険や年金など社会保障の拡充、「TUM」は低賃金労働の撤廃を意味する。
低賃金に関しては、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)政権が最低賃金の算出方法を定めた政令(2015年78号)を廃止し、電気料金や水、油など公共料金や生活必需品の値上げよりも高比率での賃金上昇を求めた。年金は国家公務員と同じく、退職前賃金の60%を支給することを含めた政令(15年45号)の改正を訴えた。
労働組合連合(KSPI)のサイド・イクバル代表は、政令によりことしの賃金上昇幅は13〜26万ルピア(約10〜20ドル)で例年より小さいと指摘。「世界3位の経済成長を目指しているのに、国民の月給はケバブ1個分しか上がっていない」と語った。
インドネシア労働者連合会議(KASBI)など他の参加団体は「政府が中国に業務を委託して仕事を奪っている」と主張。中国人労働者の流入を警戒する声も目立った。
ジャカルタでは組合員約3万人がモナス(独立記念塔)広場周辺に集結した。警察はバリケードをモナス広場西側と北側の最高裁判所前に設置。3月の反アホック知事デモと同様に、イスタナ(大統領宮殿)から約200メートルは閉鎖した。イスタナに直接声を届けられなかった労働者らは「政府は国民を見ていない」と声を強めた。
ジャカルタ特別州庁舎前では、アホック知事に贈られた花輪にデモ参加者が火を付けて気勢を上げた。一部労組は謝罪を表明したが、野党グリンドラ党のプラボウォ・スビアント党首から支援を受けてきたサイド代表は「花輪の焼却処分の手助け」などと話した。(中島昭浩、写真も)