高速鉄道 人権委に訴え 土地収用に反発 線路用地の住民

 ジャカルタ〜バンドンの高速鉄道建設のために住居の移転を強要させられているとして、建設地の住民代表が25日、中央ジャカルタの国家人権委員会に現状を訴えた。同委は鉄道の建設過程に人権侵害の可能性があるか、調査に乗り出す意向。
 国家人権委員会を訪れた住民によると、西ジャワ州西バンドン県のムカルサリ、チラメ、ガドバンコン3村に住む500世帯以上の住民が高速鉄道の建設に伴う土地収用で問題を抱えているという。
 地元住民によると、国鉄は高速鉄道の建設のため、既存の線路を拡張する必要があり、線路周辺に住む住民に補償金を支払い、住居の移転を依頼していた。
 住民側は、昨年11月に国鉄の担当者が訪れ住民登録証(KTP)の写しを要求、移転するよう強要されたと主張した。
 国鉄からは1平方メートル当たり25万ルピアの補償金が送金されるが、住民は「民間企業ならば、同じ場所で移転に伴う補償金として(1平方メートル当たり)200万ルピア以上支払われる場合がある」とし、国鉄からの補償金では移転先で生活できないと話している。
 住民代表のダダン・ラギンさん(53)は「国鉄は、住民が理解できるほどの十分な周知活動期間をとってこなかった」と主張。すでに補償金を受け取った住民は「この額では、この先とうてい生活できない」と訴えた。
 同日、住民の訴えを聴取した国家人権委員会のシアネ・インドリアニ委員は「初めてこの話を聞いた。調査し、今後の対応を検討する」と述べ、住民に実地調査を始める意向を伝えた。
 この件に対し、国鉄側は事情を把握しており、移転の対象となる世帯に対し、すでに補償を提供していると説明。高速鉄道を建設する企業連合の高速鉄道インドネシア・中国(KCIC)広報は「まだ報告を受けていない」と回答した。
(佐藤拓也、写真も)

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