個人情報を一元管理 7月、カード導入へ 税務総局 適正な徴税目指す
スリ・ムルヤニ財務相は31日、個人情報を1枚のカードにまとめる新制度「インドネシア・サトゥ」のプロトタイプを発表した。統合対象の情報は、納税者番号(NPWP)や電子住民登録証(e―KTP)、運転免許証など。財務省税務総局は7月の本格導入を機に、これら個人情報を一元管理し、適正な徴税につなげたい考えだ。
同総局の事前説明によると、社会保障機関(BPJS)の医療保険(JKN)ID、車検証、パスポート番号についても統合を検討しており、今後、関係省庁間で調整が進められる見通し。
さらに銀行と提携し、現金自動預払機(ATM)用カードやデビットカード、電子マネーも統合させようという動きがある。
これに対しては、中央銀行のアグス・マルトワルドヨ総裁が31日、地元メディアに対し「資金を動かす機能をカードに持たせるには、(中銀などの)許可が必要になる」と慎重な見解を示した。
新制度導入の背景にあるのは、納税率の低迷と政府歳入の伸び悩み。実際に納税している人は納税義務者の5%にすぎないとの統計がある中、個人の経済活動、資産を一定度捕捉できる新カード導入で、適正な徴税と税収増が期待される。
国民にとっては複数のカードを保有する手間がなくなる反面、個人情報の漏えいなど管理への不安を訴える声も上がっている。現時点で外国人を対象にするかは焦点になっていない。(佐藤拓也)