公取委が再検討勧告 来月施行の改正大臣令で オンラインタクシー規制

 オンラインタクシーと既存タクシーの料金格差是正を目的にした運輸大臣令改正で、公正取引委員会にあたる事業競争監視委員会(KPPU)は28日、改正内容の再検討を勧告した。ただし、勧告に強制力はなく、オンラインタクシー運賃の上・下限を設定する改正大臣令は、予定通り4月1日から施行される見通しだ。

 KPPU勧告は、運賃の下限設定に関し「消費者に不利な運賃になりかねず、設定すべきではない」として再検討を求めた。上限設定は、寡占による弊害防止など消費者保護につながるとの見解を示した。
 運輸省側は下限設定の理由を「運転手の取り分を最低保証するため」と説明しているが、KPPUのシャルカウィ・ラウフ委員長は「運輸大臣令改正で市場競争が制限され、乗客輸送業界の革新を妨げる恐れもある。将来的にインフレの原因にもなり得る」と再考を求めた。
 さらに各自治体ごとに運行可能車両数の上限を決める規定について、同委員長は「乗客の需要によって車両供給数が変動するという市場原理に反する」と指摘。
 車両登録証の名義人が法人に限定される点についても「個人名義の車両登録を可能にし、(米国のウーバーなど)個人が自由に参加できるシェアリング・エコノミーの発展に寄与すべき」と反対の立場を明示した。
 運輸大臣令の改正内容は11項目。対象は四輪車のみで、二輪車の規定はない。4月1日の施行後、3カ月間の猶予期間が設けられ、この間に各自治体は運賃の上・下限を設定する。

■二輪車にも規定を

 オンライン配車サービスをめぐるトラブルは、二輪タクシー運転手らの間でも深刻化、暴力事件に発展するケースも出ている。
 西ジャワ州ボゴール県では23日、アンコット(乗り合いバス)とオンライン二輪タクシー運転手が衝突し、警察や国軍が鎮圧する事件が発生。8日には、バンテン州でもアンコットが故意に二輪タクシーに追突した。
 事態を重く見た国会第5委員会(運輸・インフラ担当)は29日、公聴会を開き、オンライン運転手協会(ADO)のクリスティアンセン・フェリー・ウィルマル会長らを参考人として招致した。
 公聴会前、地元メディアに「二輪タクシー運転手に関する法的な保護がない」と訴えた同会長に対し、同委員会のラサルス副委員長は公聴会で「道路交通・輸送に関する法律では、安全性の観点から二輪車を乗客輸送用車両と定めていない。二輪車を公共交通用の車両として認めるよう法改正が必要だ」と説明した。(中島昭浩)

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