「新たな2国間関係を」 ナトゥナなど海洋水産協力で 谷崎大使インタビュー

 今月末に帰任する谷崎泰明駐インドネシア大使は20日、日本大使館でじゃかるた新聞のインタビューに応じ、2年半の任期を振り返った。日本インドネシア関係では、戦略的に重要なリアウ諸島州ナトゥナ、アチェ州サバン、北マルク州モロタイの離島開発・海洋水産分野での協力が、「2国間関係の幅を広げる象徴的なものになった」と強調した。

 離島開発は1月、安倍晋三首相が来イし、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領と会談して決まった。谷崎大使は「具体的な事業はこれからだが、それは後任大使にお願いする」と述べ、「日イ間には(西ジャワ州の)パティンバン新港建設など数々のプロジェクトがあるが、海洋水産協力で日本とインドネシアが新しいフロンティアを作ることになる」と話した。
 谷崎大使は2014年9月に赴任、ジョコウィ政権発足とともに歩んできた。ジョコウィ大統領について谷崎大使は「1年目は経験不足などがあり、不安定だったが、2度の内閣改造で政権として安定した」と評価。「大統領は国民の期待が高く、貧富の差をなくすこと、ジャワ島とそれ以外の島との格差をなくすことを目指しており、それは正しい方向だと思う。10年、20年後が楽しみで、ぜひ成功してもらいたい」と話した。

■21世紀の壮大な実験
 「ジョコウィ政権誕生時の政権移行がスムーズに行われ、現在は与党が多数を占めて、政治システムは安定している。経済的にも指標を見る限りいい。社会的にはイスラム過激派の問題があり、心配ないという意見ときちんと手当をする必要があるという意見に分かれるが、ここは正念場。政府がきちんと対応すべきだと思う」と現政権を分析した。
 谷崎大使はまた、過激派の問題について「インドネシアは21世紀における壮大な実験をしている。パンチャシラ(国家5原則)を守ることができるのか世界が注目している」と話した。
 任期中、うれしかったことについては、日本からの直接投資が15年が29億ドルだったのに16年には51億ドルに増えたこと、同じくインドネシアからの訪日客が20万人から27万人に増えたことを挙げた。「日イ関係が改善している証拠。とてもシンボリックだ」と述べた。また、ジャカルタ特別州内で行われている大量輸送鉄道(MRT)の工事は、ジャカルタの人々に日本の技術力を示す絶好の機会と指摘。「あれだけ整然と行われる工事を見て、日本の技術をすごいなと思っているのでは。ツイッターでもよく伝えられている」と話した。

■ダイビング4回
 仕事以外ではスキューバダイビングに4回行ったと話した。西パプア州ラジャ・アンパット、北スラウェシ州マナド(ブナケン島)、バリ島東海岸、東ヌサトゥンガラ州コモド島で、「ダイビングには素晴らしいところ。まだ行きたいところはいっぱいあった」と惜しんだ。
 任期中、やり残したことについて、イスラム教徒との新たな協力関係を挙げた。「イスラムの2大団体のナフダトゥール・ウラマ(NU)やムハマディヤと日本政府との新たな協力プロジェクトがあってもいいのでは。インドネシアとの交流を深めることによって世界のイスラム教徒への理解も深まる」と話した。現在65歳の谷崎大使は帰国後、外務省を退官する。(田嶌徳弘)

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