人工島3島は違法 行政裁 開発許可はく奪 アンチョール公園沖

 ジャカルタ湾の人工島造成事業で、ジャカルタ行政裁判所は16日、17島のうち、アンチョール公園周辺のK島など計3島に対する開発許可は違法と判断、無効にする判決を下した。昨年G島開発の二審では州政府勝訴の逆転判決が出ており、一連の人工島訴訟は長期化する見通しだ。

 訴訟は環境団体ワルヒや北ジャカルタ沿岸の住民らが起こしたもの。裁判官は「開発許可は近隣住民の意向を無視したもの」と判断、人工島開発は公共の利益につながらないとした。
 17の人工島開発には複数の企業が携わり、それぞれアルファベットで島を命名している。今回行政裁は、うちF・I・Kの3島の開発許可を無効と判断した。
 3島の開発許可は、2015年に人工島開発を推進するアホック知事=知事選出馬で休職中=が出した。州営不動産ジャカルタ・プロパティンドがF島を取得。アンチョール公園に隣接する位置のK島は、同公園運営会社のプンバグナン・ジャヤ・アンチョールが取得し、I島も関連企業が取得した。
 K島開発担当のプンバグナン・ジャヤ・アンチョールの担当者は地元メディアに「不服だ。ジャカルタ特別州政府と連携し対応していきたい」と語った。
 ジャカルタ特別州政府は大量高速鉄道(MRT)をK島まで延伸する計画を公表している。州政府はこの判決に対し控訴するとみられる。
 人工島の開発をめぐっては、昨年、ムアラアンケ港(ジャカルタ漁港)沖のG島も訴訟に発展。一審でG島の造成許可を無効とする判断が下されたが、二審では一転して埋め立てを認められた。これを不服とした環境団体や住民が現在も係争中だ。
 この判決に対し、ジャカルタ特別州知事選でアホック氏と争うアニス・バスウェダン氏は17日、地元メディアに「(行政裁の判断は)アホック氏が的確な手続きを踏まずに許可を発行していたことを裏付けた」とし、「私がアホックの立場ならこの判断に従う」とけん制した。
 ジャカルタ湾の埋め立て事業自体はスハルト政権当時に計画案が承認されており、開発業者は、事業を無効にした場合、州政府レベルではなく現政権の責任を問うと反発している。
 アホック氏はこれまで開発業者と協議し、人工島造成と引き替えに漁民用の集合住宅や防潮堤を建設させることで合意したと説明。一部の有力者がNGOを通じ、漁民を扇動して開発阻止を働きかけた疑いも浮上している。(佐藤拓也)

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