地域開発にCSR活用 ジャカルタ特別州 透明性に疑問の声も

 ジャカルタ特別州政府が、企業の社会的責任(CSR)活動を地域開発に活用するケースが増えている。2015年は20企業が総額391億ルピアの事業を実施した。透明性の確保も課題となっており、特別州議会では、官民が連携して実施するCSR活動の資金調達方法などを定めた条例案を協議している。
 日刊紙コランテンポの報道によると、州政府が活用したCSR活動は14年、北ジャカルタ・マルンダの社会活性化・環境保全事業1件だけだった。
 翌15年には、20企業が57カ所の児童公園を整備したほか、1企業が独立記念塔(モナス)広場周辺の壁のペンキを塗り直した。
 16年もCSR活動は、置屋街カリジョドの跡地約4ヘクタールでの公園建設、オーストラリアのタロンガ動物園から南ジャカルタ・ラグナン動物園へのキリン寄贈などに活用された。17年は131カ所で各種公園が整備される予定だ。
 CSRの活用は、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が州知事時代に活発化させた。在任中の13年、CSRの目的と種類、実行手順について定めた州知事令(第112号)を発令。当時副知事だったアホック氏が知事に就任してからは「州予算の多くを厚生、教育分野に充てるため、CSRを積極的に活用する」と表明、企業に地域開発への協力を呼び掛けてきた。
 一方、特別州議会の一部議員の間では「州政府と企業の合意内容が不透明」との批判が上がっている。アフマッド・ナワウィ州議は「州政府から事業内容の説明はなく、意図不明な案件もいくつかあった。選定基準がなく、知事のやりたい放題だ」とし、資金調達方法などを規定する条例案の早期可決を目指す。また、ジャカルタ湾の人工島G島の造成事業などで、反対住民懐柔、取り込みにCSR活動が利用されているとの指摘もある。(中島昭浩)

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