アホック、アニス両氏決選へ 最年少アグス氏は失速 ジャカルタ特別州知事選

 史上2回目となる統一地方首長選挙(有権者約1億8672万人)の投開票が15日、全国7州・76県・18市で行われた。三つどもえの接戦が予想されたジャカルタ特別州知事選は、民間調査機関の開票速報で、現職バスキ・チャハヤ・プルナマ(通称アホック)氏(50)と前教育文化相のアニス・バスウェダン氏(47)が上位2位を占め、4月19日に実施される決戦投票で決着を付ける見通しとなった。

 州民が直接投票で選ぶジャカルタ特別州知事選は、2007年、12年に続いて今回が3回目。当日有権者数は706万9459人で、15日午前7時〜午後1時、州内1万2538カ所の投票所で投票し、午後2時ごろから開票が行われた。
 民間調査機関インドネシア調査サークル(LSI)が、州内各地の投票所350カ所の開票結果を基に独自集計した結果によると、得票率は、アホック・ジャロット組が43.2%、アニス・サンディアガ組が39.9%、アグス・シルフィアナ組が16.9%。過半数を獲得した候補がいないため、アホック組とアニス組の上位2組が決戦投票に進出する見込みとなった。
 LSIによると投票率は77.69%で、前回の12年州知事選の第1回投票64%、決選投票66%を大きく上回った。
 アホック氏は15日夜、南ジャカルタ・クンバンガンにある闘争民主党(PDIP)のメガワティ党首の自宅を訪問。メガワティ氏は「アホック氏を支援してくれたジャカルタ市民に感謝したい」と話した。
 アニス氏は、南ジャカルタ・ラグナンのグリンドラ党本部で、記者団に「(開票速報を聞いて)感謝している。ジャカルタ市民が望んだ結果だ」と語った。
 アグス氏は記者会見を開いて敗北を宣言し、「アホック氏に電話でおめでとうと伝えた」と明かした。(配島克彦)

アホック氏 被告の逆転劇 アニス氏 討論会で猛追

 アホック氏はコーラン侮辱発言問題で昨年10月以降、イスラム勢力の攻勢で土壇場に追い込まれ、独走態勢から支持率は急落していたが、2012年州知事選の第1回投票とほぼ同じ得票率を獲得した。
 6組が出馬した前回州知事選でアホック氏は、中部ジャワ州ソロ市長だったジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)氏とペアを組み副知事候補として出馬、第1回投票で42.6%を獲得し、34.05%の現職ファウジ・ボウォ組を引き離した。決戦投票ではジョコウィ組が53.82%を獲得、票差を縮められながらも46.18%のファウジ組を破った。
 4月に行われる決戦投票は、アグス支持者の動向が決め手になる。選挙戦終盤でイスラム勢力に接近したアニス陣営は、「ムスリム結集」の名の下にどこまでアグス氏の地盤を取り込めるかが鍵。アホック陣営は、アグス陣営に回っていた連立与党を再結集させ、アニス氏を擁立したグリンドラ党や福祉正義党(PKS)など野党勢力との対立姿勢を鮮明にする構えだ。
 プロテスタントの華人であるアホック氏が視察先の集会で言及したコーランの一節は、「ムスリムはムスリムの指導者を選ぶ義務」を明示した教義であるとして、イスラム団体が反アホック運動を正当化するのに利用した。
 これまでアホック氏は「コーランを使って異教徒の対抗馬を攻撃する政治家を批判した。コーランやイスラム指導者を侮辱したのではない」と主張。宗教冒とく罪に問われたが、公判中の被告人候補として首位に躍り出た。決戦投票では、判決の行方がムスリム有権者の重要な判断材料になる可能性がある。
 一方で、昨年末までの世論調査で劣勢だったアニス氏は、公開討論会で説得力あるパフォーマンスを披露、明確な政策を提示できなかった弱冠38歳の元軍人、アグス氏の支持者を切り崩して猛追した。
 アニス氏は12年の州知事選、14年の大統領選でジョコウィ氏の右腕となり、第1次内閣で教育文化相を務めている。公約ではアホック氏との差別化を図り、ジャカルタ湾の埋め立て反対などを訴えたが、かつて現職を支えたブレーンとしての安定感を前面に出しながら、過激な発言で賛否両論のあるアホック氏に切り込む構えだ。(配島克彦)

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