3年間で7億ドル投資 来イのグラブ創設者表明 年内に研究開発センター

 東南アジアの配車アプリ最大手グラブ(シンガポール)の最高経営責任者(CEO)兼共同創設者のアンソニー・タン氏が2日、中央ジャカルタのグランド・ハイアットホテルで、2020年までのマスタープランを公表、今後3年間でインドネシアに総額7億ドルを投資すると表明した。東南アジア6カ国に展開するグラブにとって、国別で最大規模の投資をすることで、インドネシア市場を重要視する姿勢を鮮明にした。

 アンソニー氏は「首都圏の渋滞や銀行口座普及率の低さはこの国の問題。グラブはこれらを解決する」と述べ、交通分野とモバイル決済のサービス向上に重きを置くことを強調した。
 まず17年、1億ドルを投じてジャカルタ特別州内に研究開発センターを設立し、2年間で約150人の技術者を雇用する。現在、建設計画が浮上している米アップルの研究開発センターの投資計画が約5千万ドルほどと伝えられているため、グラブはアップル以上の投資額で開発拠点を建設することになるもよう。
 グラブのアプリで現金をチャージできる「グラブペイ」を普及させるため、電子商取引(EC)で展開する財閥リッポー・グループとの協力関係を強化。さらに1億ドルを投じてスタートアップ企業を財政的に支援することも表明した。
 グラブの配車アプリをめぐっては、運輸省が一時、「配車アプリ事業者は公共交通手段ではない」との見解を示し、配車アプリ事業者に運輸大臣令を特別に施行するなど、関係省庁との間に温度差のあった時期があった。しかし、今回のアンソニー氏の来イで、インドネシア側は閣僚級2人のほか、商工会議所(カディン)トップやバドロディン・ハイティ前国家警察長官が出迎え投資を歓迎した。
 グラブのインドネシアでの成長率は展開する他国と比べても大きく、自動車・バイクともに利用件数が1年間で600%増加したと公表。グラブのインドネシア責任者、リツキ・クラマディブラタ氏は「グラブの運転手は他のプラットホームに所属する運転手よりも40〜70%ほど多くの収入を得ている」と運転手の福利厚生にも配慮していると強調した。
 配車アプリ市場はゴジェック、米ウーバー、グラブ3社が競っている。(佐藤拓也、写真も)

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