イスタナ爆破テロ計画 サリナ事件の過激派か 自爆要員に女 圧力鍋に爆弾
国家警察テロ特殊部隊(デンスス88)は12日、中央ジャカルタのイスタナ(大統領宮殿)を標的にした自爆テロを計画したとして、反テロ法違反の疑いで10日以降に男女計7人を逮捕したと発表した。実行犯になる予定だったとみられる女が借りていた西ジャワ州ブカシ市の部屋からは爆発力の高い爆弾が見つかった。
警察によると、犯行グループは11日にイスタナで行われる警護隊交代式で自爆テロを実行する計画だった。交代式はことし7月以降、毎月第2日曜に一般公開されている。
これまでに逮捕されたのは男5人と、このうち1人の前妻と後妻。
警察は、後妻のディアン・ユリア・ノフィ容疑者(27)がブカシ市内に借りていたコス(下宿)の1階部屋から、黒いリュックに入った状態で、圧力鍋を使った重さ3キロの爆弾を押収。また、ディアン容疑者が両親に宛てた手紙を郵便局で押収した。手紙は、「私の売り物(殉死)も神に受け入れられ、殉死を享受できるよう祈ってほしい」などと書かれ、遺書と受け取れる内容だった。
ティト・カルナフィアン国家警察長官は12日、犯行は、1月の中央ジャカルタ・サリナデパート前爆破テロの首謀者とされるバフルン・ナイム容疑者のグループによるものとする見解を発表。インターネットで爆弾製造法を学び、同容疑者から資金提供を受けていたとみている。
警察は事前情報をもとに10日、中部ジャワ州ソロからジャカルタ方面に向かう、男2人が乗った車を追跡。その後、ディアン容疑者が車に乗り込み、近くの郵便局で両親宛に小包を出すところを確認した。
3人はその後、ディアン容疑者のコスへ。黒いリュックを持った同容疑者が部屋に入った後、男2人はその場を去った。警察は男2人が東ジャカルタ区カリマランの高速道路を走っていたところを、午後3時40分に逮捕。同50分、部屋にいたディアン容疑者を逮捕し、爆弾を押収した。
午後6時15分には、爆弾を製造したとされる別の男を中部ジャワ州カランアニャルで逮捕した。
さらに11日、爆弾製造などに関わったとみられる22〜25歳の男女3人を逮捕。東ジャワ州ンガウィの男(22)の部屋からは、爆薬の過酸化アセトン(TATP)1.3キロなどを押収した。
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は11日、「インドネシアにテロリズムが入る余地はない」と強調。デンスス88がテロ計画を未然に防いだことをたたえるとともに、テロとの戦いには警察だけでなく国民の協力が不可欠だと呼びかけた。(木村綾)