金曜礼拝で犠牲者追悼 アチェ北部地震 国道沿いに支援集中

 「アッラーフ・アクバル(神は偉大なり)」。9日正午ごろ、倒壊したモスクの前にムスリムたちが並んだ。礼拝用のマットやテントが設置され、犠牲者に祈りをささげる。アチェ州北部のピディ・ジャヤ県では7日に発生した地震で57のモスクが損壊したが、金曜礼拝はがれきの前で整然と行われた。
 ピディ・ジャヤ県ムルドゥ市から車で50分。国道からさらに奥に入ったカイェ・ジャトゥ村では、バイトゥルムタキン・モスクが倒壊し、男性2人が重軽傷を負った。金曜礼拝を行うため、モスク前では簡易テントを作ろうと、骨組みとなる長さ約4メートルの竹を男たちが次々と運び込んでいた。
 巻き込まれた2人のうち1人は、押しつぶされた1階部分にできた隙間から自力で脱出したが、もう1人は重傷を負った。住民らが協力して救出し、村にある救急車でムルドゥ市に搬送。その後、アチェ州バンダアチェで手術を受け、命を取り留めた。
 住民のバジャルディンさん(51)によると、村には約400世帯あり、村内3カ所に炊き出しを設け、食材を持ち寄って調理しているという。
 「メディアや救助隊が集まるのは国道沿いや中心部ばかり。村だけで何とか対応しているが、もっと大きな地震が発生しても、ここまで救助の手は来ないだろう」と話す。
 屋根や壁などが壊れた家も多く、住民は余震を恐れている。「今最も必要なのはテント。壊れそうな家の中にいるのは怖いという人がほとんどだ」と話した。
 ムルドゥ市内では昼前になると店が次々と閉まり始めた。同市近郊で倒壊したジャミ・クバ・パンワ・モスク前では屋根や礼拝用のマットや設置され、約500人が集まり、静かに祈った。
 同県内では広範囲にわたりモスクや学校、住宅などが倒壊した。建設中の建物も、鉄骨が傾いたり倒れたりしたほか、屋根や壁が崩れ落ちた。ムルドゥ市や近郊では8日夜に電気が復旧したため、24時間開いている店もあり、余震が続く中、住民やメディア関係者らが共に一晩を過ごした。
 倒壊したパサール(伝統市場)周辺では9日朝から正午にかけ、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領に会いたいと人が殺到し、大渋滞した。同州ロクスマウェ市など被災地周辺から訪れる人も多く、着飾った女性らが壊れた建物の前でセルフィー(自撮り)する姿もあった。(毛利春香、写真も)

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