「背後に政治勢力」 一部暴徒化デモで大統領 イスラム団体や議員反発

 4日に起きたアホック・ジャカルタ特別州知事に対する大規模デモを受け、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は5日未明に会見し、暴徒化したデモ隊の背後に「政治勢力がいる」との見解を述べた。大統領のデモへの対応が、さらなる議論を巻き起こしている。
 デモは中央ジャカルタのモナス(独立記念塔)周辺で午後6時ごろまでおおむね平穏に行われたが、夜になりイスタナ(大統領宮殿)前などで暴徒化したデモ隊の一部が治安部隊と衝突し、けが人が出る事態になった。
 ジョコウィ大統領は4日深夜、ガトット・ヌルマンティヨ国軍司令官やティト・カルナフィアン国家警察長官、ウィラント政治・法務・治安調整相ら関係閣僚と協議。5日未明、イスタナで会見した。「デモが整然かつ平穏に行われたことに感謝する」とした一方、「イシャー(夜の礼拝)の後、解散するはずだったデモ隊(の一部)が暴徒化したことを遺憾に思う。事態を利用した政治勢力がいたと理解している」と述べた。
 特定の人物や政党などがデモの黒幕との見方は、デモが起きる前から伝えられていた。前大統領のユドヨノ氏(民主党党首)はデモの2日前、同氏に向けられた疑惑に対して反論する異例の会見を開いていた。
 ジョコウィ大統領はデモ発生当時、バンテン州タンゲランのスカルノハッタ空港鉄道の建設現場視察でイスタナにはいなかった。代わりにユスフ・カラ副大統領らがデモ隊代表らと面会した。
 デモを動員したイスラム強硬派団体、イスラム擁護戦線(FPI)のハビブ・リジック・シハブ代表は5日に会見し、「大統領が素早く問題解決に動かなかったのは、宗教に対する侮辱だ。彼(ジョコウィ氏)はイスラムを冒とくした」とジョコウィ氏の対応を批判した。また、デモに政治利用があったとの見方について、「(デモに)政党からの資金協力はない。どの政党の誰のことか」と反論。デモはムスリムの寄付で行われたと主張した。
 国会議員の間でも、大統領の対応に対する厳しい声が聞かれた。
 ファドリ・ゾン国会副議長(グリンドラ党)は4日のデモに参加し、イスタナ前で「大統領が大衆に会わず、要望を聞かないとはどういうことか」と声を上げた。国会第3委員会(法務・人権・治安)のバンバン・スサティヨ委員長(ゴルカル党)は政治勢力が介入したとのジョコウィ氏の発言を受けて6日、「政治的緊張を解き問題を明らかにするため、政府は、デモに介入したという政界の人物の身元を明かすべき」と求めている。(木村綾、12面に関連)

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