大統領「デモは平穏に」 FPI代表を聴取 国家警察
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領とユスフ・カラ副大統領は3日、コーラン侮辱発言で刑事告発されたアホック・ジャカルタ特別州知事への抗議デモを4日に実施するイスラム団体に対し、平穏に行うよう呼びかけた。国家警察は同日、アホック氏を告発したイスラム強硬派団体のイスラム擁護戦線(FPI)のハビブ・リジック・シハブ代表を参考人として事情聴取、7日にはアホック氏を取り調べる予定。
デモを翌日に控え、各地からデモ隊が集まる予定の中央ジャカルタ・イスティクラルには3日、イスラム団体などから飲料水などの支援物資が届いた。モスク内は通常通り礼拝者らが訪れ、昼間は閑散としていた。
イスティクラル広報部によると、普段は午後10時に閉鎖するが、4日夜は地方から来るデモ参加者に宿泊場所として提供するという。
独立記念塔(モナス)南側にあるジャカルタ特別州庁舎周辺には、「私たちは皆兄弟」と書かれた州政府の横断幕が貼り出され、庁舎前の鉄柱には新たに大型の監視カメラが設置された。
大統領宮殿(イスタナ)前には警察機動隊の放水車などが配備され、午後2時すぎには陸軍のヘリコプター数機がモナスやタムリン通りの上空を旋回した。デモ警備の一環という。トランスジャカルタの運行や交通規制「奇数・偶数」制度は4日も通常通り行う。
国家警察は3日、デモ動員の中核組織FPIのハビブ・リジック・シハブ代表を宗教分野の専門家として参考人聴取した。イリアワン警視総監やテディ・ラクスマナ陸軍ジャヤ師団司令官が同席した。7日に聴取予定のアホック氏は「良き国民として必ず捜査に応じる」と話した。
アホック氏のコーラン侮辱発言容疑をめぐり、ネット上でSARA(民族・宗教・人種・階層)に関する中傷や扇動が激化しているとして、通信情報省は同日、国家警察や国家テロ対策委員会(BNPT)の要請を受け、2日夜に新たに11のウェブサイトへのアクセスを遮断したと発表した。
地元テレビ各局はデモに関する報道を終日続け、メディアが扇動に加担しているとの批判も挙がる。ツイッターでは、デモ不参加を呼びかける「#NggakIkutDemo」のハッシュタグが話題になっている。
人権団体や法律団体などからなる市民連合は同日、連名で政治エリートなどに対し、ジャカルタ特別州など101の自治体で実施される統一地方首長選(2017年2月15日投開票)で、市民を混乱させるような言動を控えるよう呼びかける声明を発表した。(配島克彦)