月刊誌「+62」創刊 異文化のクロスに挑む インドネシア語版も用意 「南極星」後継誌、毎月1日発行

 インドネシアの生活情報誌「+62」が1日、創刊された。2011年1月から16年6月まで発行された月刊誌「南極星」の後継誌で、南極星を立ち上げた池田華子さんが引き続き編集長を務める。毎月1日発行の月刊誌。日本語版に加えて、11月1日にはインドネシア語版も発行する。読者層をインドネシア人にも広げながら、多様な異文化の「+(プラス、クロス)」をテーマにした情報発信に挑む。

 南極星を一回り大きくしたB5版、84ページ。目次で目に飛び込んでくるのは国際電話の国番号。誌名でもあるインドネシアの「+62」、タイの「+66」、日本の「+81」という情報発信地の番号が記事のインデックスとなり、読者をクロスカルチャーの世界へといざなう。インターネット、デジタル全盛の時代だからこそ、あえて肉声を伝える電話にこだわったという。
 創刊号の巻頭を飾る特集は、00年以降に成人になったミレニアル世代のインタビュー集「ミレニアルの肖像」。ファッション・デザイナーや小説家、エンジニア、モデル、経営者などとして活躍するインドネシア人、インドネシア在住の外国人計12人の素顔、横顔に迫った。
 12人は19〜35歳。「『+62』がリーチしたいと考えている読者層であり、在インドネシアの日本企業もターゲットとして狙う層ではないでしょうか。そうした若者が何を考え、どのような世界を作ろうとしているのか。作り手、クリエーターとしてのミレニアル世代にフォーカスした」と池田さんは言う。
 テーマ「クロスカルチャー」にふさわしい試みも織り込まれている。「+62」を左から開くとインドネシア発の情報が横書きで、右から開くと日本発の情報が縦書きで現れる。二つの流れは、ジャカルタ発の記事「ジャカルタですしを食べる」と、東京・築地のすし店などを紹介する日本発の記事「楽しい築地」でクロスするよう配されている。
 連載も多彩だ。在イ歴計10年の鍋山俊雄さんが各地をめぐる「インドネシア全34州の旅」、インドネシアや日本の食材を生かした料理を紹介する「西宮奈央さんのMasak Kira―Kira」と「梅村さんのごはんですよ」、南極星に掲載されておなじみの「かたかたインドネシア」、イラストレーターの本多トモコさんがつづる「タイLIFEえ? 日記」、こまつか苗さんの「インコ侍」などが読者の興味、好奇心を引きつける。
 発行部数は日本語、インドネシア語版とも各1万2千部。日本語版は、スーパー「パパイヤ」各店やホテル、レストラン、アパート、学校などで無料配布中。11月1日発行開始のインドネシア語版は、有名私立高校や日本語学科のある大学、カフェなどでも配布する。公式ウェブサイトのアドレスは plus62.co.id/。 池田さんは、フィリピンで発行されている邦字紙日刊まにら新聞の記者を経て、1999年3月から2004年5月までじゃかるた新聞の記者として活躍した。同年12月に月刊誌「さらさ」、11年1月に南極星をそれぞれ創刊し、ともに編集長を務めた。
 今回、約5年半ぶりに情報誌を創刊した理由について、池田さんは「時代の先端を行くべきメディアも時代に合わせて変化しなければなりません。毎号毎号、マンネリ化との戦い、今ある物を壊して新しい物を作る戦いですが、『ハコ』自体が古くなってしまうこともある。南極星をやめて『+62』に変えたのは、ハコを変えたということです」と話している。(酒井善彦)

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