申告額20兆円に到達 租税特赦 実施国で最高規模 ルピアは1万2000台に

 財務省税務総局によると28日午後9時時点で、法人・所得税などに対し通常よりも20%以上低い税率が適用されるタックス・アムネスティ(租税特赦)への申告額が2612兆ルピア(約20兆円)に達した。過去に同じ目的で税の恩赦を実施してきた他国と申告額ベースで比べると、最高額に達しそうだ。税務署には午前3時から申請のため受け付けに並ぶ姿もみられる。

  最低税率の適用期間まで残り3日と迫り、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領とスリ・ムルヤニ財務相は28日、ジャカルタ特別州各地の税務署を巡回し、繁忙期を迎えた税務署を訪れ職員を労った。
 税務署を視察後、大統領は記者団に「過去にタックス・アムネスティを実施してきた国と比較してもインドネシアの申告額はかなり大きい」と話し、「税務署には午前3時、4時、5時に受け付けに並ぶ人がいるほどだ」と租税特赦への関心の高さを表現した。
 民間調査機関のインドネシア・租税分析センター(CITA)は、租税特赦の申告額を過去同じ趣旨で実施してきたスペインやイタリアなど6カ国と比較。申告額だけで換算すると国別で最高の申告額に達する報告書を公表した。9月以降、有名実業家の申告ラッシュが続くなか、ラフマット・ゴーベル元商業相も28日、南ジャカルタの税務総局で租税特赦を申請した。
 ケン・ドゥウィスギアストアディ税務総局長も同日、税務総局の受付窓口を視察。租税特赦の申告によって二重課税にならないよう職員に書類の精査を徹底するよう指示する場面もみられた。
 申告額の急増に比例するように、株式市場は高値圏へ、為替はルピア高に動いている。ブルームバーグの対ドルレートは27日に2015年5月以来、1万3000ルピア台を割り、28日には1万2957ルピアを付けた。
 インドネシア証券取引所(IDX)の総合株価指数(IHSG)も1カ月ぶりに5400を上回った。
 政府は租税特赦の申告後にインフラ整備などに資金がまわるよう期待をかけており、これに先立ち多くの国営企業は増資を発表し、資本強化に動き始めている。(佐藤拓也)

「まだ間に合う?」 税務総局 申告に6時間待ち

 28日午後2時すぎに南ジャカルタ・ガトット・スブロト通りにある財務省税務総局を訪れると、1階ロビーには租税特赦専用のヘルプデスクが増設され、2階に進むと手続きする部屋に入りきれない申請者が地べたに座り自分の番号を呼ばれるのを待っていた。
 受け付けの警備員によると税務総局で租税特赦の申請を受理できる人数は原則1日に500人。「昨日は午前5時ごろから租税特赦の受け付け番号を取るために行列ができ、9時ごろには500人分すべて締め切った」。建築会社で部長職の男性は「(受け付け番号取得後)6時間待っているが、まだ手続きに入れていない」。
 通常の税率25〜30%の法人・所得税を同2〜4%と最低税率を適用できる期限まであと3日。午後3時を過ぎても税務総局内の受け付けには、「きょうはまだ申請できますか」と訪れる人が後を絶たず、本日分の受け付けを締め切ったことを知ると足早に別の税務署へ向かった。(佐藤拓也)

経済 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly