SMEJが体制強化 合弁設立・中間管理職の育成を支援 「強い中小企業」づくり

 会員企業500社を超える中小企業連合会(SMEJ)が、ことしから組織の体制を強化し、合弁会社の設立や企業の人材育成を支援する取り組みを始めた。合弁設立支援に向け、カディン(商工会議所)や自治体、金融機関と協力。人材育成では、海外産業人材育成協会(HIDA)と資金面でも協力し、職場研修を提供することで、進出企業にとって共通課題の中間管理職の育成に携わる。2000年5月の発足当初からSMEJを支える白石康信会長(77)は「グローバル化にも負けない『強い中小企業』づくりを目指す」と新たな挑戦に力を込めた。

 白石会長は「家電業界に韓国、中国系企業の進出が進んでいるように、グローバル化が進むことで世界の企業がアジアを土俵にしている」と危機感をあらわにし、SMEJの機能を強化する背景を説明した。
 グローバル化の現状を踏まえ、SMEJの理事を増やし体制を整備することで、▽日イ企業の合弁会社の設立を推進▽中間管理職の人材育成――の活動を強化する方針を掲げた。
 これまで月1回のセミナーによる会員企業への情報提供が、会費を無料とするSMEJの活動の中心だった。白石会長は中小企業の弱みに「情報収集力が大手に比べ弱い」ことを挙げ、まず9月5日にメイバンク・インドネシア本店の会議室で日イ企業が参加するワークショップを開き、合弁相手と出会う場を提供する。自治体と協力することで、まだ進出していない日系企業にも交流の場を広げる。
 SMEJはすでにアピンド(経営者協会)と協力関係にあったが、今回の試みにカディンが賛同。アピンド加盟企業だけでなく、カディンの企業までワークショップに参加する地元企業の裾野を広げた。
 今回のワークショップでは川崎市と初めて協力する。川崎市はこれまで中国やタイなどのワークショップに参加していたが、ことしからホーチミン(ベトナム)など東南アジアにも活動を広げている。ジャカルタで需要の見込まれる浄水設備を扱う企業など計5社が参加を決めている。
 合弁支援に加え、中間管理職の人材育成に注力する。白石会長は「(インドネシアの企業は)必要以上に在庫を抱え込み、資金繰りに課題を抱えるなど、生産性を向上させる余地の多い企業が多い」と現状を分析。海外産業人材育成協会と協力し、職場研修を提供することで生産性の向上につながる人材を育成する。
 理事にはインドネシア在住歴が四半世紀を超える白石会長を始め、日本貿易振興機構(ジェトロ)ジャカルタ事務所の岡部光利次長やインドネシア滞在経験の長いベテランが在籍し、SMEJの新たな取り組みを支える。

 【プロフィル】白石康信(しらいし・やすのぶ) 1939年3月、愛媛県今治市生まれ。57年に県立工業高校卒業後、三菱電機に入社。81年にインドネシアに赴任し、これまで関連法人や独立系企業の現地法人計7社を立ち上げた。2009年に米バークレー大学名誉博士号を取得。00年5月にSMEJ設立に尽力、会長に就任。

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