租税特赦で増資相次ぐ 国営企業 還流資金インフラ整備に

 18日に適用されたタックス・アムネスティ(租税特赦)。政府は、国営企業の増資や社債の発行などで還流した資産の受け皿をつくり、インフラ整備などにつなげていきたい考え。金融業界も受け入れ体制を本格化させ、資金集めに奔走する。
 国営企業省は先日、国営企業4社の株主割当増資を実施すると発表した。対象企業は国営建設ウィジャヤ・カルヤ(通称ウィカ)、国営高速道路管理・運営会社ジャサ・マルガ、国営製鉄クラカタウ・スチール、国営建設PP社。租税特赦で流入した資金を建設会社や高速道路を建設する企業の資本強化につなげ、インフラ整備事業にてこ入れしたい考えだ。
 また国営石油ガス・プルタミナも第3四半期(7〜9月)をめどに米ドル建てで15億ドル規模の社債を発行すると発表した。「米ドルで資産を保有する場合の選択肢になる」(リニ・スマルノ国営企業相)。ほかに国営空港管理第2アンカサプラ、国営港湾管理第2ペリンドなどの国営企業も増資や社債の発行を検討している。
 さらに政府はジャワ島横断高速道路(トール・トランス・ジャワ)やスマトラ島縦断高速道路(トランス・スマトラ)などの高速道路の開発資金にも充てたい考えを示している。
 金融業界も体制を整備する。マンディリ銀行とマンディリ証券、ヌガラ・インドネシア銀行(BNI)とBNIアセット・マネジメントなど銀行と証券会社が提携し、ヘルプデスクやホットラインを設置した。
 MNC証券で機関投資家向けの取引を担当するジャンソン・ナスリアル・エコノミストは経済紙コンタンに株式に比べリスクの少ない国債への資金流入が100兆ルピアに上ると見込む。
 ダナレクサ証券のラッキー・バユ・プルノモ・アナリストはインドネシア証券取引所(IDX)の総合株価指数(IHSG)が5500を超えるとの見通しを示した。
 一方、過度な投資家の反応に警戒感を示す見方も出ている。経済紙コンタンはアナリストの言葉を紹介し、株価の状況を判断する指標のPER(株価収益率)が過去5年間の平均を超え、国債の利回りが低下しているように、租税特赦法への期待から、施行前にもかかわらず証券市場へ多くの資金が流入していることに注意が必要と指摘している。(佐藤拓也)

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