遺族3人が証言 ジェシカ被告は否認 コーヒー毒殺事件
中央ジャカルタのモール「グランドインドネシア」のカフェで1月、ワヤン・ミルナ・サリヒンさん(当時27)がベトナムコーヒーを飲んで死亡したコーヒー毒殺事件で、殺人罪で起訴されたジェシカ・クマラ・ウォンソ被告(27)の第4回公判が12日、中央ジャカルタ地裁で開かれた。遺族は事件当日の様子やミルナさんの交友関係を振り返って説明した。ジェシカ被告ら弁護団はこれまでと変わらず、起訴内容を否認している。
証人としてミルナさんの父エディ・ダルマワン・サリヒンさんと夫のアリフ・スマルコさん、双子の妹のセンディ・サリヒンさんが召喚され、裁判官、検察官、弁護側がそれぞれ質問した。事件当日の病院での様子やミルナさんとジェシカ被告の交友関係など、これまでの情報をより詳しく確認する質問が相次いだ。
ダルマワンさんは事件当日の病院での様子などを振り返り、事件当日に一緒にカフェに集まった2人の友人で、弁護側が毒を入れた可能性があると主張しているハニさんについて、「冷静に事件を傍観していたジェシカに比べ、ハニはパニックになり、病院ではずっと泣き続けていた」と証言。被告が犯人だとの考えを変えなかった。
続いて夫のアリフさんに対しては、殺害当日のミルナさんの様子や、被告とミルナさんが留学していたオーストラリアから事件当日に至るまでの交友関係についての質問が相次いだ。
アリフさんとミルナさん、ジェシカ被告は事件前の昨年12月8日、北ジャカルタ・クラパガディンで食事を共にした。被告から休暇中でジャカルタに帰省していると連絡があり実現した。食事中、特に変わったところはなく、その後も「休暇中で時間があるからまた何度か会いたい」と、被告からミルナさんに連絡があったという。
双子の妹のセンディさんは冒頭に裁判官から病院での様子を尋ねられ、言葉に詰まり涙した。センディさんはミルナさんの死後に病院に到着したという。
一方、ミルナさんが殺害された後、ジェシカ被告からSMSでベトナムから毒素を含んだベトナム産のコーヒーがインドネシアに輸出されているなどと書かれた内容の地元メディア・ドゥティックコムのウェブサイトのリンクが送られてきたと明らかにし、裁判官らにスマートホンに残されたSMSを見せた。
ジェシカ被告は、被告であることを示す赤いベストを脱ぎ、弁護側の座席に座ってメモを取りながら話を聞き、3人がそれぞれ話し終わった後に最後に発言。ミルナさんとはオーストラリア留学時代から仲が良く、ジャカルタで再会するのは自然なことなどと説明し、殺害を否定した。
次回公判は13日。(毛利春香、写真も)