年後半も新製品攻勢 3年後売り上げ7〜8倍 日清フーズ 西田知之社長

 即席麺の日本最大手日清食品の現地法人、日清フーズ・インドネシアが、新製品攻勢をかけている。ことし前半だけで即席カップ麺、激辛タイプの新製品、日本でも人気が高いカップ焼きそばのインドネシア版など八つの新製品を売り出した。年後半も7〜8種を投入する予定で、いままでの製品と異なる「大型商品」もあるという。3年後に現在の7〜8倍の売り上げを見込む。同社の西田知之社長に、新製品攻勢の狙いと背景を聞いた。
 西田社長は、現在の新製品攻勢は、「これまで進めてきた一連の戦略の延長線上にある」と説明する。
 現法は、1992年に日清のアジア地域統括会社の「日清シンガポール」と即席麺地場最大手のインドフードの合弁会社としてスタートし、即席麺を現地生産する唯一の日系メーカー。
 2014年に国内販売強化のため、インドフードが持つ48%の株式を買い取り子会社化するとともに社名も現社名に変更した。15年12月には、コンビニのアルファマートを傘下に持つ三菱商事と提携、株式の34%の出資も受けた。
■経営の自由度増す
 「即席麺の草分けとして、そして外国企業としてなにができるかを考えてきた」という。インドフードとは、原材料の仕入れを依存、一方で即席麺の生産委託を受けるなど、資本提携解消後も良好な関係にあるが、「以前は、容器の形、販売金額の設定などで思い通りの戦略を展開しにくい面があったが、いまは経営の自由度が増した」と語る。
 年間132億食を消費するインドネシアは、中国・香港に次ぐ世界第2の「即席麺大国」だが、インドフードとウィングの地場2社が、市場の90%を支配する寡占市場でもある。残りの10%を、日清などの他企業と、外国からの並行輸入品がシェアを競う。
■「ラーメン文化」を
 日清が狙うのは、カップ麺なら1個5千〜7千ルピアの地場企業が提供する低価格商品と1個1万ルピアを超える輸入品の間にぽっかりと空いた「中間の空白地帯」、具体的には1個8千〜9千ルピアの商品だ。
 この価格帯を「全く新しい市場」として捉え、これまでになかった新商品を集中的に提供し開拓していく戦略だ。「地場のミー(麺)の文化とは違う、ラーメンの文化を紹介していく」という。主なターゲットとして台頭する中間層。特に新しい食文化に敏感な若者層を念頭に置く。 
 市場規模が大きいパパママストアで売られる1個千ルピアの小さな袋麺タイプの商品も引き続き提供していくものの、新製品の投入による販売個数増と、平均価格の上昇で、現法の売り上げは3年後に現在の7〜8倍になると見込む。
 国内シェア拡大を目標にしていないとしながらも、結果として、金額ベースのシェアは単価上昇効果で4%程度に、個数ベースでも現在の1%弱から拡大すると予想する。
 製品開発では、日清シンガポールにある研究・開発拠点との連携を強化。研究員の一部が常時往復し情報を共有するほか、研究員の数も現在の7人を近く倍増する計画だ。
 日本では毎年350の新商品が登場する即席麺市場。そのうち、定番商品として生き残れるのは5年に一つあるかどうかという。「インドネシアでこの『金脈』を見つけるのが私の務めです」。西田社長の表情が一瞬厳しくなった。(西川幸男、写真も)

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