3イン1、16日に廃止 次の一手はERP 渋滞改善せず

 ジャカルタ特別州は渋滞緩和のための交通規制策「3イン1」を16日に廃止する。試験的な規制解除から1カ月、渋滞状況に改善がみられなかったことから、ジョッキーなどの社会問題をなくすべきと判断した。規制対象の道路の利用者からは渋滞悪化を危惧する声も聞かれる。 

 州運輸局のアンドリ・ヤンシャ局長は11日、「3イン1があってもなくても、渋滞は発生する」との見方を示した。同時に、3イン1対象地域で行われている大量高速鉄道(MRT)の建設やスマンギ交差点、スディルマン、タムリンの両通りの整備を加速したい考えも示した。
 3イン1は午前7時〜10時と午後4時半〜7時、指定区域での通行を乗車3人以上の車両に限定する規制で、1992年に導入された。渋滞緩和が狙いだったが、規制を逆手にとり、人数合わせのために車に同乗する「ジョッキー」が横行したことなどから見直しを検討。州は4月5日から規制解除を試験的に実施し、渋滞への影響を調査していた。
 運輸局は渋滞緩和の次の一手として、スディルマン、タムリン両通りなどの主要道路を対象に自動で通行料を徴収する、電子課金システム(ERP)の設置を急ぐ。車の通行量を減らし、公共交通機関の利用を促す狙い。
 アホック知事は12日、「3イン1はもう終わった。次の政策の検討を進めている」と述べ、ナンバープレートの末尾の数字をもとに車両の乗り入れを規制する「奇数・偶数システム」とERPを挙げた。新たな政策を導入するにあたり、近く住民らの声を聞く機会を設けると話している。

■運転手は「渋滞悪化」
 規制対象のスディルマン、タムリン両通りの利用者の間では、3イン1廃止に否定的な声が聞かれる。
 会社員のクルニアワティ・チャンドラさん(32)はこれまで、東ジャカルタ・ジャティヌガラの自宅から中央ジャカルタ・タムリン通りの会社まで1時間かけて車で通っていたが、規制解除試験によって通勤時間が最大1時間半に延びたため、バイク通勤に切り替えたところ、20〜30分にまで短縮されたという。1カ月前まではジョッキー2人を乗せての車通勤だった。
 南ジャカルタ・クバヨランバルのハン・ジェバット通りからタムリン通りまで車通勤する銀行員のジョー・バリスタさん(33)も「これまで30分だった通勤時間が、3イン1の試験廃止で最大50分になった。正式に廃止されれば、もっと混むと思う」と口をそろえた。
 3イン1廃止の影響は規制対象外のタクシー業界にも及ぶ。ブルーバードタクシー運転手のデディック・サントソさん(25)は「帰宅ラッシュの午後5時以降、スディルマン通りにはタクシー待ちの客が増えるが、(3イン1があった時と比べて)今は渋滞がひどくなったから行きたくない。3イン1が廃止されればタクシー運転手も困ることになる」と不満を漏らした。(木村綾、写真も)

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