メーデー各地で集会 「最賃決定方法見直しを」 労働政党設立へ

 メーデーの1日、各地で労働組合の集会が開かれ、最低賃金の決定方法の見直しや医療保険の値上げへの反対などを訴えた。労働組合総連合(KSPI)は労働者のための政党設立の基盤となる組織の設立を宣言した。
 ことしのメーデーは日曜日だったため、カーフリーデーと重なった。KSPIのサイド・イクバル代表は28州で実施したデモに約100万人が参加し、うちジャボデタベックなど首都圏には約10万人が参加したと説明した。
 労働組合は、毎年メーデーで訴えている企業による外部委託(アウトソーシング)の廃止や最低賃金の基準となる適正生活水準(KHL)引き上げなどのほかに、▽昨年施行された最低賃金の決定方法を定めた政令(2015年第78号)への反対▽2017年最低賃金の30%引き上げ▽東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体(AEC)に反対▽社会保障機関(BPJS)の医療保険値上げに反対——などを訴えた。
 労働組合は中央ジャカルタのホテル・インドネシア(HI)前から大統領宮殿(イスタナ)前まで行進後、中央ジャカルタ・スナヤンのブンカルノ競技場へ移動。KSPIのサイド代表が労働者による政党の基盤となる組織の設立を宣言した。地元メディアによると、労働組合総連合が農民や漁民、専門従事者などの集まる組織と、教員や学生、女性、芸術家などが集う組織の2団体の設立を宣言した。
 デモに参加した西ジャワ州ブカシ県チカラン在住のヘルマン・スサントさん(26)は最低賃金の上昇幅を固定させる政令に反対。プレミウムなどの燃料は下がったが、生活必需品(スンバコ)や住んでいるコス(下宿)の値段は上昇しており、「昨年は1カ月30万ルピアだったコスの賃料が、ことしは35万ルピアに上がった」と昨年の給料の値上げ幅だった10%を超える物価の上昇に生活が苦しくなっていると話した。
 ジャカルタ特別州のアホック知事は「重要なことは物価の急激な上昇を抑えるため、政府は企業が生産性を向上できるよう支援することだ」と語った。知事は首都圏バスの路線網を拡大したことで、生活費の削減を実施しているなどの実例を述べた。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領はツイッターで労働者の祭典を祝う声明を出した。
 また、デモの最中には組合員が団らんを楽しむ姿もみられ、オーストリアの大学でソーシャルメディアによる労働ストライキを研究するリサさん(27)は初めてインドネシアのデモを見て「デモの参加者が絵を描いていたり、音楽をかけたりしながら自分を表現している姿が印象的だった。オーストリアで同じ光景を見たことはない」と話した。(佐藤拓也)

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