また貸しに待った ジャカルタ州政府 公営住宅にステッカー 家賃滞納住民も

 ジャカルタ特別州政府は27日、州内計22カ所の低所得者向け公営住宅(ルマススン)で、部屋の所有者の住民登録証(KTP)データをもとに作成したステッカーを各部屋に貼り付ける作業を開始した。住民が第三者に部屋をまた貸ししたり、転売することを防止するのが目的だ。
 ジャカルタ特別州住宅建築局のイカ・レスタリ・アジ局長は27日、東ジャカルタ区カンプンムラユにある東ジャティヌガラ公営住宅を訪れ、ステッカーの貼り付け義務を公表するとともに、職員らと計2棟520世帯分の部屋にステッカーを貼り付けた。
 イカ局長によると、ステッカーには公営住宅の賃貸入居者のKTPデータや顔写真が掲載されている。
 これまで州内の公営住宅で、マフィアの仲介で住民が部屋をまた貸ししたり、転売して利益を上げていた事例があった。
 イカ局長は今回の取り組みについて「顔写真付きのステッカーを貼ることで、居住者と賃貸契約者を一目瞭然で確認でき、また貸しや転売も防ぐことができる」と説明している。
 低所得者向け公営住宅へは、東ジャカルタ区カンプンプロを流れるチリウン川沿いの防水堤整備などの水害対策のために撤去された住民や、北ジャカルタ区プンジャリンガン郡パサールイカン地区の緑地公園建設のため追い出された住民が、次々移転している。
 家賃は入居から3カ月間は無料、4カ月目から1カ月15万〜30万ルピア。イカ局長は「(北ジャカルタ区プンジャリンガンにある)カプックムアラ公営住宅には富裕層が住んでいるという情報をつかんだ」と話す。
 イカ局長は、ステッカーを次にカプックムアラの住宅に貼り付けるといい、同住宅の違法居住者の摘発を実施する予定。
 また貸しがなくならない背景には、低い家賃ですら支払えない住民が多い、という現状がある。
 パサールイカン地区の元住民で、現在は東ジャカルタ区チャクンにあるラワベベック公営住宅に住んでいるルスさん(60)は同公営住宅の敷地内でワルン(屋台)を経営している。「1日あたり3万ルピアほどの収入しかなく、これでは家族を養えない」と不満を口にする。
 州政府によると、これまで強制撤去で移転した住民のうち、38世帯が家賃を支払えないとして滞納し、家賃を分割で支払っている世帯が少なくとも11世帯ある。また、公営住宅から職場までの距離が遠いことから、近場の公営住宅への移転を希望する人もいるという。(山本康行、写真も)

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