【スナンスナン】 感染症に気をつけよう 熱の出方に特徴も

 新生活が始まる4月。海外で困るのが病気になったとき。熱帯特有の感染症もあるインドネシアで、気をつけるべきことは何か。南ジャカルタ・ポンドックインダ病院内のJ―クリニックで2004年の開設以来、日本人患者の診療にあたるリアンティ・ブディ医師(49)に、日本ではあまりなじみのない病気の傾向と対策を聞いた。

 発熱や腹痛など症状が似ており判断が難しい感染症。リアンティ医師は発熱の仕方に着目し、「体の調子が悪い時はこまめに熱を測って」とアドバイスする。
 感染症にはウイルスや細菌によるものがあり、ウイルス性のものは熱が急に上がることが多い。ネッタイシマカなどの蚊が媒介するデング熱もその一つ。蚊の発生が増える雨期(10〜3月ごろ)に特に注意が必要とされるが、最近は雨期でも雨が降らないなど気候が変化しており、1年中気をつけたい。

■デング熱
 ウイルスを持つ蚊にさされると発症する。38度を超える熱が急に出ることが多い。頭痛や関節痛を伴い、せきや鼻水など風邪の症状はあまり見られない。
 3日ほどで熱が下がるが、同時に血小板の数値が減少し始める。ひどい場合は鼻血や歯茎からの出血、生理予定日より早く出血することも。「熱が下がっても、だるさや出血がある時はデング熱を疑い、血液検査を受けてください」
 抗生物質は効かず、点滴による水分・栄養補給などの対症療法になる。
 予防は蚊にさされないことにつきる。「蚊はきれいな水を好み卵を産みます。冷蔵庫の下や鉢植えなどを掃除し、水をためないようにしましょう」
     ◇
 汚染された飲食物からの経口感染にも注意したい。腸チフスやアメーバ赤痢は熱や吐き気、腹痛、下痢などの症状を伴う。「熱はなく、3日ほどで自然に治ることが多い」食あたりと区別する必要がある。ウイルス性の感染症と異なり、抗生物質による早めの治療が大切だ。
 予防は調理や食事前、トイレ後のせっけんでの手洗い。生ものはできるだけ避け、火を通したものを食べるのが望ましい。

■腸チフス
 腸チフス菌による感染症で、熱は朝に低く、夕方に上がるというパターンを繰り返し、徐々に上がることが多い。初期は微熱で、感染に気付かないこともよくある。
 潜伏期間は1週間〜1カ月ほど。ワクチンで予防できるが、100%ではない。1回の接種で2〜3年持ち、感染しても症状が軽減される傾向にある。

■アメーバ赤痢
 症状は少しねばねばした便が特徴で、血便が出ることもある。熱は37〜40度までばらつきがあり、発熱しないこともある。原虫の赤痢アメーバは主に腸内にいるが、まれに肝臓や肺、脳に広がり重症化する恐れもあるため「抗生物質を処方し、早く直すことが肝心」。半年〜5年後に発症するケースもある。
     ◇
 いずれも、「病気になりやすいのは体力が落ちているとき」とリアンティ医師。日本人は体調が悪くても仕事に行く人がいる、と心配する。「熱が出たら、水分をたくさん取って、まずは自宅で安静に。吐き気や下痢の症状がある場合や、3日ほど熱が下がらない場合はすぐに受診を」と呼びかけている。(木村綾)

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