地元から感謝される関係を 日系企業の提言力活用

 前任の竹部幸夫理事長からバトンを引き継いだ福田知史ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)新理事長は、「日本や日本企業がいてよかったと地元から感謝される関係」を目指し、今後のJJCの活動を展開していく。日系企業が持つ提言力を生かし「一つ一つ実績を積み上げる努力を繰り返していくことが、日本のプレゼンス(存在感)を高めることにつながる」とし、大使館や草の根の非政府組織(NGO)と協力しながら、「日本が一番大事な国だ」と地元にさらに受け止められる関係の構築を図る。理事長就任後のじゃかるた新聞などとの会見で明らかにした。

 14日の定例会員総会の理事会で新理事長に選出された福田氏は、今後1年のスローガンとして「インドネシアとともに発展できるパートナー」を掲げ、▽インドネシア側と共有しうる提言力の強化▽内外に向けた発信力の強化▽会員のさらなる利便性の向上――の三つの活動方針に従い、日イ関係の一段の強化を目指す。
 日系企業が持つ提言力を生かして、政府・経済界への意見具申活動を強化するほか、「ものづくりセミナー」や昨年初めて実施した日系企業貢献度調査などを通じて、地元メディアへのアピールを本格始動させ、日本の存在感向上を目指す。会員向けには、情報提供・会員ネットワーキング機能を強化するほか、手狭になっている事務局の移転を検討する。
 福田理事長は、中国を含め世界的な成長の鈍化、資源価格の下落でインドネシア経済は「厳しい状況にある」とし、成長の阻害要因となっている道路、港湾、空港などインフラ整備や電力不足の解消などに日系企業がどう貢献できるかが求められている、と強調する。財源の不足、分配の重視などインドネシア側の事情を踏まえながら、日系企業が持つ提言力を生かし、政府や地元経済界への働きかけを強化する考え。
 福田理事長は、今月、丸紅インドネシア代表(丸紅インドネシア会社社長、丸紅アセアン会社副社長を兼務)に就任したばかり。赴任早々、日系企業・日本人社会を代表するJJC理事長という二つ目の重責を担うことになった。
 留学を含め、米国、ジャマイカなど3回の海外経験を持つが、主に新電力事業など「電力畑」を中心に経歴を重ねてきた。
 経済産業省の委託を受けて丸紅、東京大学、三菱商事、三菱重工業などがコンソーシアムを組み行っている福島県沖での世界最大の浮体式洋上風力発電設備の実証研究事業にリーダーとして参加した経験を持つ。
 出張を含めて、インドネシアに足を踏み入れたのは「今回が初めて」となる。
文化や食事などで「日本とは天と地の違いがあった」これまでの海外勤務先と異なり、インドネシアに来て「日本はアジアの一員なんだ」と実感、「違和感は全くない」と言い切る。(西川幸男、写真は佐藤拓也)

福田知史(ふくだ・ともふみ)

 1964年1月生まれ。52歳。長崎県大村市出身。86年3月東京大学経済学部卒、同年4月丸紅入社。
 92年4月米国ワシントンDC事務所、97年4月本社電力部門を経て、2007年9月丸紅カリビアン・パワー社長、ジャマイカJPS会長。11年4月国内電力プロジェクト部副部長、12年3月福島洋上風力コンソーシアム・リーダー、13年4月国内電力プロジェクト部部長、今年4月から現職。
 趣味は特にないが、「学生時代に家の庭でバラを育てていた。赴任で日本に愛犬を残してきたのが心残り」と話す。

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