人と人をつなぐ図書館 スラバヤ C2Oライブラリー

 東ジャワ州スラバヤ市のドクター・チプト通りの閑静な住宅街に5千冊、千本の映画を所蔵する図書館「C2O(シー・ツー・オー)ライブラリー・アンド・コラブティブ」がある。キャスリーン・アザリさん(34)が開いた図書館で、知識や情報、意見を共有・交換し合う場として「人と人」をつなぐ場所になっている。  

 インドネシアにある公共図書館は数が限られ、交通の便もよくないだけでなく、開館時間は夕方までで、週末には閉館するため、なかなか気軽に利用できない。一方、個人で本を保管している人が多いが、読んだ後は再読されることなく放置され、本が痛んでしまうばかりだという。そこでキャスリーンさんは、半年間で友人や知人、学生から2千冊の本を集め、2008年にスラバヤでC2Oを開いた。
 名前の由来は、最初に開館したドクター・チプト通り20番の住所と、2人が出会い「C(see―会う)」、「Ow」と驚くような発見があるようにとの意味が込められている。
 キャスリーンさんは現在、シンガポールの東南アジア研究所(ISEAS)に在籍。同地とインドネシアを行き来する日々を送る。
 2階建てのC2Oにはインドネシア各地や海外から学生や社会人、政府関係者、建築家、音楽家、デザイナー、作家などさまざまな人が集う。1階には歴史や文化、文学、デザインに関する本を中心にインドネシア語と英語の本がずらりと並ぶ。イベントを開くスペースやキッチンがあり、2階にもフリースペースやスクリーンを完備。C2Oでは会員制度があるほか、インターネットでの情報発信、雑誌や本の発刊、ワークショップやセミナー、イベントなどを開いている。
 デザイナーでC2O会員のアンドリュー・ブディマンさん(32)は「図書館は皆が集まって知識や情報を共有し合える場所。C2Oでは多様性を大切にしており、職業や年齢、性別、国籍などにとらわれることなくさまざまな人が集い、人と人をつなげる役割を担っている」と話す。
 C2Oではスラバヤの情報発信や、「町づくり」についても話し合われている。同地はキャサリーンさんの出身地。インドネシア第2の都市と言われているが、認知度が低く町の魅力が知られていないことが実情だという。「本当はヒンドゥー教や仏教の寺院、ジャワの建築物、山など魅力がたくさんある。C2Oでは、表面からは見えない本当のスラバヤをより知ってもらえるよう、皆で協力しながら情報を発信している」。
 活動の一つで、スラバヤ市内を歩いて探索する「マニック・ストリート・ウオーカーズ」では、海外観光客からの参加者が増えているという。イベント活動への参加だけでなく、アットホームな雰囲気のC2Oは、本好きが立ち寄るのにもおすすめ。入館は無料で午前11時〜午後9時まで。(毛利春香、写真も)

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