当てが外れた経済情勢 過度な悲観は判断誤る 河口会長に聞く

 「日系企業はインドネシアの経済成長に大いに期待していた分、当てが外れたと感じてしまっている」。こう話すのは東ジャワ・ジャパンクラブ(EJJC)の河口裕司会長(63)。車両用合金ホイールなどを取り扱うセントラル・モーター・ホイール・インドネシア(CMWI)の社長でもある河口会長に、最近のインドネシアと東ジャワ、スラバヤでの動向を聞いた。

 河口会長が来イした5年ほど前はインドネシアの経済は右肩上がりで、このまま伸び続けると多くの日系企業が予想していたが、近年は停滞。「製造業の中でも特に労働集約型・設備投資型の企業は、3年以上先の中長期的な目線を持って先行投資しており、飲食業や人材派遣、サービス業などとは投資の金額に大きな差があるため、今は苦しい状況だ」と実情を訴える。

■スラバヤも停滞
 首都圏には進出した日系企業で飽和状態だったことや賃金が大幅上昇したため、かつては多数の経済団体や企業、地方自治体などの視察団が日本からスラバヤを訪れていたが、1年半ほど前からぴたりと止まったという。
 「インドネシア全体の景気が落ち込んでいることもあり、投資ブームも冷めている。特に日本は投資先とする『ブームの国』をつくり上げ進出する傾向があり、タイに始まりベトナム、中国、そしてインドネシアが近年まで盛況だった。今ではミャンマーやラオスなどへ目が向きつつある」
 もう一つは、最低賃金の上昇幅がジャカルタより大きく、首都近郊の西ジャワ州の賃金に近づいていること。「ジャカルタから約700キロ以上離れたスラバヤに工場や会社を設けるメリットがなくなってきている。工場を閉鎖したり駐在員を帰国させたりし、駐在をやめる企業も出てきた。労働集約型の企業の中には、中部ジャワなどさらに賃金や物価の安い地方への進出に目を向け、流れていく傾向も見られる」と話した。

■リスクヘッジできる
 一方、インドネシアには2億5千万の人口があり、中間層が膨らんでいることが今後も大きな強みになると語る。
 「インドネシアは内需も外需も両方強く、リスクヘッジができる。ミャンマーやラオスと比べると、インフラや政治の安定、制度や設備などではインドネシアの方がずっと良い」と話す。
 「今は苦しい時期かもしれないが、期待が大きすぎた分、必要以上に悲観せず、判断を見誤らないようにしなければならない」と冷静な姿勢を促した。(毛利春香、写真も)

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