大企業の解雇に対応 新経済政策で雇用創出 政府

 労働組合総連合(KSPI)のサイド・イクバル代表が大手企業の工場閉鎖に伴う大量解雇の懸念を表明して以降、政府要人が相次いで声明を出した。労働組合がデモ抗議をするなか、プラモノ・アヌン内閣官房長官は労働集約産業の誘致に向け、来週にも新たな経済政策を打ち出し、雇用創出に向け対応する姿勢を示した。 

 「昨年に比べ何人解雇しましたか」。大手自動車メーカーが開いた記者会見で、地元記者から質問が飛んだ。大手企業の撤退報道が相次いだため、人員削減が大きな関心事となっている。大規模な解雇が伝えられているのは、米自動車大手のフォードや石油会社の米シェブロン、パナソニック、東芝の4社。ほかに韓国の電機メーカーも工場を閉鎖するという。
 労働省によるとジャカルタ特別州、南カリマンタン州、南スラウェシ州でことし1月以降だけで1400人弱の解雇が確認されている。日刊紙コランテンポは大企業による解雇が今後、4500人に上る試算を出した。
 パナソニックはほかの工場や、グループ会社で新たな職場を提供する方針で、リストラの対象となる従業員は425人になる見込み。シェブロンの幹部も「原油価格の下落だけが原因ではない。昨年からインドネシアの事業を再考している」と話した。
 中央統計局(BPS)が昨年11月に公表した労働力調査によると、昨年8月時点の失業率は6.18%で、直近2年では最悪。ある自動車製造会社は消費低迷による減産に対応するため、生産工程に携わる契約社員を、2015年の年初に比べ約4割削減している。
 プラモノ・アヌン内閣官房長官は4日、パナソニックと東芝の幹部と電話で話し、事実関係を確認後、地元メディアに「撤退ではなく、資本構成の再編ということだ。従業員の大量解雇も事実ではない」と説明した。同長官は雇用創出に向け、新たな政策を打ち出すと語った。来週に発表する予定だ。
 また、プラモノ内閣官房長官は日本企業による大量解雇が、日本が受注できなかったジャカルタ〜バンドン間の高速鉄道と関連しているとのうわさがあることを受け、「大量解雇と高速鉄道との関係はない」と否定した。
 フランキー・シバラニ投資調整庁(BKPM)長官は4日、中国企業がバンテン州タンゲランで1500人規模で雇用できる工場の建設を進めていることを取り上げ、「工場が閉鎖しても働く場所は十分にある」と呼びかけた。同長官とダルミン・ナスチオン経済調整相は同日、会議を開き労働集約産業の誘致へ刺激策を打つことで一致した。
 労働組合総連合のイクバル代表は「消費者の購買力が弱まったことが大量解雇につながっている」と最低賃金のさらなる引き上げを主張し、6日に大統領宮殿(イスタナ)前で数千人規模でデモ抗議を実施する。(佐藤拓也)

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