デング熱  流行の兆し 7州で非常事態宣言 邦人感染も

 全国各地でデング熱の感染が急速に拡大している。ニラ・ムルック保健相は4日、7州で非常事態宣言(KLB)を発令したと発表。ここ数日、激しい降雨があったバンテン州や西ジャワ州、ジャカルタ特別州などの首都圏でも感染が相次いでおり、各地で蚊の駆除や感染予防を呼びかけている。

 非常事態宣言が発令されたのは、ゴロンタロ州、西パプア州、南スラウェシ州、バリ州、ブンクル州、南スマトラ州、バンテン州。
 バンテン州保健局の疾病・衛生管理部は1月末までに785人が感染し、うち25人が死亡したと発表した。同州の昨年同月の感染者数333人、死者数4人を大幅に上回った。
 保健局のM・ヤヌアル局長によると、同州タンゲランで感染者が270人と最も多く、うち死者が13人。次いでパンデグランで224人が感染、5人が死亡した。南タンゲラン市では108人が感染、2人が死亡した。
 西ジャワ州ブカシでは165人が感染、6人が死亡。西ジャワ州デポック市立病院では、先月末までにデング熱と診断された患者が昨年同期比約3倍の152人に上った。感染拡大を受けデポック市は3日、同院でデング出血熱の患者に対し無料で検査や治療、入院を行うと発表した。
  微熱で陽性反応も
 ジャカルタ特別州保健局のクスメディ・プリハルト局長によると、同州では先月末までに611人が感染し、昨年同期の433人から大きく増加した。
 州内で日本人の感染も確認されている。中央ジャカルタの共愛メディカルサービスでは先月15日〜今月3日までに少なくとも3人がデング熱と診断された。
 南ジャカルタのクニンガンとチプテのSOSメディカクリニックでは、先月末までに計10人の日本人がデング熱と診断された。1人が重症で入院したほか、2人は熱が37度台と高熱でないにもかかわらず、血液検査でデング熱の陽性反応が出た。デング熱の症状として高熱が一般的とされており、従来とは異なるまれなケースだった。
 同院で日本語診療にあたるダイティア・ジョハン・アガハリ医師は「降雨で蚊が増えているのに伴い、先週あたりからデング熱の患者も増えている」と話し、蚊に刺されないよう予防する大切さを訴える。
 保健省はデング熱対策として▽貯水槽に長期間水をためない▽水がめのふたを閉じる▽ごみを放置せずに埋める――の「3M」を呼びかけている。(木村綾)

◇ デング熱 ネッタイシマカなどの蚊が媒介するデングウイルスによる感染症。潜伏期間は3〜7日ほどで、発症すると高熱、頭痛、関節痛などの症状を伴うことが多い。まれに重症化しデング出血熱になる。ワクチンや特効薬がなく、蚊の発生が増える雨期には特に注意が必要。インドネシア全土で感染が確認されているほか、2014年には日本国内でも約70年ぶりに症例が報告された。

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