目が不自由でも友達さ 児童らパラスポーツ交流 バンドンで日本の振興センター

 日本政府のスポーツ国際貢献事業を担う独立行政法人・日本スポーツ振興センターは西ジャワ州バンドン市で3、4日、インドネシアの視覚障害のある子どもと地元小学校の児童らがパラスポーツ(障害者スポーツ)を体験するイベント「パラスポーツクエスト」を開いた。2018年にジャカルタ特別州でアジアパラ競技大会が開かれることもあり、国内で最も歴史が長く文化活動が盛んなバンドン視覚特別支援学校と協力。子どもたちと教員が「障害」への理解を深めた。
 4日の西ジャワ州教育局のホールでは、同支援学校4年生の12人、パジャジャラン小学校とドクター・チプト小学校の4・5年生から12人の児童計24人が参加した。
 事前研修を受けた教員らの指示の下、パラリンピックの正式種目で、目隠しをして鈴の入ったボールを転がしゴールした点数を競う「ゴールボール」に挑戦。静まったホールで鈴の音を頼りにボールを受け止めたり転がしたりし、ゴールが入る度に歓声が上がった。
●工夫でゲーム共に
 筑波大学付属視覚特別支援学校の教論で、視覚障害児を体育指導し水泳やゴールボールの選手をパラリンピック競技大会へ導き、メダリストも育ててきた寺西真人コーチ(56)も足を運んだ。寺西さんは「目が見えないだけで、少しの工夫をすれば普通と何ら変わりない」と話し、両者が共に楽しめる工夫を凝らしたゲームを提案した。
 この日は「じゃんけん」を取り入れたゲームをし、互いに出した手の形を声に出したり、触ったりしながら勝ち負けを楽しんだ。宝探しでは目の見えない子どもが点字で書かれたヒントを読み解き、リードをとった。
 パジャジャラン小学校のサニテドくん(11)は「難しいことや大変なことはなかった。すぐに友達になれて、とても楽しかった」と話し、バンドン視覚特別支援学校のドゥラスくん(11)の手を引いて笑顔で友達のところへ駆けて行った。
●先入観なく理解を
 日本スポーツ振興センター職員で08年の北京パラリンピックにゴールボール選手として出場した高田朋枝(31)さんは、「子ども同士だと先入観なくすぐに友達になることができるから、幼いころから触れ合う機会を作ることはすごく大切」「大人になるにつれて『かわいそう』と思うようになるのは、親やテレビなどの影響が大きい。日本では障害のある人を見かけた子どもが疑問に思い近づこうとしたり、彼らのことについて親に尋ねたりしても『見ちゃだめ』と言う人が多く、間違って教えられている」と話す。
 日本でも視覚障害のある子どもと普通の子どもが共にスポーツを楽しむ機会は少なく、今後も同様のイベントをしていきたいという。
 日本政府は2020年の東京五輪・パラリンピック招致で14年から7年間、スポーツを通じて世界中で国際貢献する事業「スポーツ・フォー・トゥモロー(SFT)」を開始。100カ国・1千万人以上を対象としている。(毛利春香、写真も)

社会 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly